メキシコの中でも人気の高まっている「オアハカ」の治安について紹介します。
過去におきたオアハカでの犯罪や事件など「数値化されたデータ」に加えて、過去に5,6回ほどオアハカを訪れたわたしの経験と、現地在住のオアハカ出身の友達、オアハカ在住の日本人から得た情報をまとめています。
これからオアハカに旅行に行きたいと考えている人、治安が不安な人の役に立てば嬉しいです!!
もくじ
オアハカはメキシコ有数の「安全な街」
まず、オアハカは、カンクンに並んでメキシコでも有数の「安全な街」だと言われています。
Oaxaca is one of the safest states in Mexico. Oaxaca City, in particular, when compared to other urban centers, retains a friendly, small-town vibe. As a tourist, if you take the usual precautions, the chances of experiencing crime are low. Don’t flash expensive items such as jewelry, cameras or phones.
訳:
オアハカは、メキシコの中でも最も安全な州の一つです。特に州都のオアハカシティーは、他州の都市よりも友好的でこじんまりとした雰囲気が残っています。
旅行者としては、普通のレベルの注意をしておけば犯罪に遭う可能性は低いです。ただし、ジュエリーやカメラ、スマホなどの高価なものは目に見えるところにぶらさげないように。
行ったことのある人はみんな感じると思うのですが、オアハカは本当に「平和」で「ゆっくりと時間が流れる」街です。
犯罪が起こることは想像しにくいほどなのですが、実際には一部エリアでスリの被害が多く「カメラやカバンをひったくりに遭う」、という事件もたまに発生しているので、持ち物には十分注意が必要です。
実際のデータで見る、オアハカの治安
「NUMBIO」という、世界の街の治安を「実際に行った人・住んだ人の投票によって」数値で出してくれるサイトがあります。
「体感での治安のよさ」ですね。
そのサイトによると、オアハカの安全度は以下の通り。
一番上のメーターは、「全体的な安全度」を指し示していますが、オアハカは「安全」の範囲を指しています。
その他の情報は、以下の通り。
Oaxaca de Juarezにおける犯罪指数
数値 | 危険レベル | |
犯罪のレベル | 20.45 | 低い |
過去3年間の犯罪増加率 | 55.00 | 普通 |
建物への侵入や泥棒のリスク | 27.27 | 低い |
殺人や強盗のリスク | 17.50 | 非常に低い |
車両盗難のリスク | 27.27 | 低い |
車内の物が盗まれるリスク | 32.50 | 低い |
攻撃されるリスク | 20.45 | 低い |
侮辱される(喧嘩を売られる)リスク | 6.82 | 非常に低い |
人種差別を受けるリスク | 5.56 | 非常に低い |
ドラッグ利用者の問題 | 22.73 | 低い |
家庭内崩壊の問題 | 38.64 | 低い |
暴行を受ける・武器による強盗を受けるリスク | 25.00 | 低い |
汚職や賄賂の問題 | 60.00 | 高い |
Oaxaca de Juarezにおける安全度
一人で道を歩く際の安全度
日中 | 86.36 | 非常に高い(安全) |
夜間 | 75.00 | 高い(安全) |
また、メキシコで最も多様性溢れる州なだけあり人種差別はほとんど見られませんし、喧嘩を売られる・バカにされることなどもなく、心地よく過ごせます!
指標はほぼ「低い」以下、どの時間帯に歩いても「安全」という結果になっていました。これ、めっちゃ安全です!!
もっとわかりやすいように、試しに他の世界の街と比較してみましょう。
フランスのパリとオアハカの比較
数値を見ればわかるように、パリよりもオアハカの方がずっと安全です。特に町歩きについては、オアハカの方が圧倒的に安全。犯罪に遭うリスクも低いです。
次に、身近な国から「韓国」の首都ソウルを見てみましょう
韓国のソウルとオアハカの比較
韓国のソウルとオアハカは、だいたい同じくらいの安全度です。
項目によっては、オアハカの方が安全。スリなどの小さい犯罪の数はオアハカの方が多めですが、凶悪犯罪の数はオアハカの方が少ない印象です。
次に、東京と比べてみます。
東京とオアハカの比較
さすが、東京は世界屈指の「安全な都市」なので、やっぱり東京の方が安全です。
が、それでもオアハカが海外にしてはかなり安全だと言うことがわかると思います。街中を歩くのは、東京で歩くのと変わらない安全度です。
- 町中の治安は、東京と同じくらい安全=心配せずに町歩きができる
- 犯罪に遭う可能性は、パリよりは低いが日本の感覚では危ない。身の回りの持ち物には気をつけるべき!
オアハカの「安全なエリア」と「危険なエリア」
オアハカは、全体的には安全ではありますが、一部危険なエリアもあります。
地図で紹介します。
安全なエリア
安全なエリアは、以下の地図で囲んである地域の中でも、特に北のエリアです。
サンドドミンゴ教会と、ソカロを繋ぐ歩行者天国の「アルカラ通り」の周辺(上の地図でいうと、青いエリア)は、夜でも街灯がたくさんあり、人々が行き交い賑やかなのでとても安全。
また、オアハカの中心地の中でも安全なのは「北部」のエリアです。北部は街の雰囲気も整然としていて、高級住宅地もあるなど安全面では南部よりもずっと安心。
立地条件も良く、ホテルを選ぶならこの辺りがおすすめです!
危険なエリア
逆に、危険というかあまり治安が良くない場所として有名なのが南西部にあるオアハカ最大の市場「アバストス市場」のあたり。
アバストス市場の近くには、村に行くための乗合タクシー乗り場や2等バス乗り場があり、かなりゴチャゴチャとしていて人も多いです。(↓)
また、売春婦がたむろしている道もあり、雰囲気も北部とはかなり違うので、夜は出来るだけ避けた方が良さそう。
また、人混みに紛れてスリ被害にあうことが多いようなので、持ち物には十分気をつけましょう!
とは言っても、強盗にあう、命の危険に晒される、などの事件は基本的に起こらないですし、わたしもこのエリアにはよく行きますが、気をつけていれば問題ないです。
安全なエリアでもスリには注意
「安全なエリアだから大丈夫」と気を抜いていると、観光客を狙ったスリやひったくりにあう可能性があるので、気をつけてください。
だいたいそういう輩が出没するのは、夕方6時〜夜10時ごろの人で混み合う時間にかけてのアルカラ通り(目抜き通り)だそうで、買い物中の観光客、道で喋りながら歩いている女性(のハンドバッグ)が狙われやすいんだそうです。
ただし、この道は歩行者天国。
バイクや車でのひったくりは難しく、「子供が全力疾走でひったくる」という犯罪が多いので、もし被害にあったらすぐに「泥棒だ!(Ladrónーラドロン!!)」と叫びましょう!
アルカラ通りには警官も見回っているので、すぐに追いかけてくれます。
歩行者天国の道でなくても荷物には注意してください。
ただしオアハカ中心地は常に渋滞で混み合っているので、車やバイクを使ったスリやひったくりは少ないです。
オアハカで本当に注意すべき3つのこと
治安が心配、という人に、オアハカで本当に注意すべきことを3つ紹介します。
1. マエストロ(教師)のストライキ
これ、おそらく現時点ではオアハカで一番の問題です。
先ほどの表で「汚職や賄賂の問題」だけ、「高い」と言う結果が出ていたのですが、その原因がこのマエストロ(=教師)たちのストライキです。
彼らの団体の名前は、CNTE(Coordinadora Nacional de Trabajadores de la Educación=教育労働者全国協議会)で、メキシコの教員労働組合です。
しかし、ただのストならまだしも、彼らの過激さは類を見ない勢い。
例えば…
- ADOのバスターミナルや主要道路を封鎖させる
- あえて大きな祭りの時期(ゲラゲッツァなど)に、ソカロを占拠してデモ活動
- まったく関係ない街のお店に放火、強盗、建物ぶち壊し
- オアハカ市内の学校を燃やす→生徒はその後ずっと強制野外授業
などなど。死者が出るほどの事件を起こすこともあります。
日本の外務省の提供している「海外安全情報」では、メキシコのオアハカについてこのような記述があります。
従来よりCNTE(教育労働者全国協議会)が抗議活動として道路封鎖等を行っています。陸路で同州に赴く場合には,有料高速道路を使用するとともに,不用意に山間部に移動することや,夜間の移動は避けてください。
外務省海外安全情報:メキシコの危険情報(2019/5/24確認)
一応「教育労働者全国協議会」というそれっぽい仮面はかぶっているものの、その実態はメキシコ中で問題視されている制御不能な団体なのです。(メキシコ政府からはゲリラ扱いされています。)
詳しくは、こちらの記事でも書いています(↓)
旅行者も、バスターミナルや道の封鎖で乗るはずのバスに乗れなくなるなどの被害を受けることがあります。
なお、(滅多にありませんが)CNTEのメンバーがオアハカ中心部で破壊活動を始めた場合は、すぐにホテルに帰って身の安全を確保してください。
2. 地震
2017年の夏から秋にかけて、オアハカはメキシコの歴史の中でもかなり大規模な震災に見舞われました。
オアハカにある多くの建物が甚大な被害を受け、特にオアハカ南部(海岸沿いのエリア)は街の建物の約8割が崩壊する、という状態でした。
南部と比べると、車で8時間ほど離れているオアハカ中心部の被害は少なくて済みましたが、それでも多くの建物が被害を受けました。
オアハカ市民は、そんな「地震への恐怖」とともに2017年以降ずっと生きてきたのですが、2019年4月に、研究によって未だこのエリアの地盤が不安定だという結果が出たのです。
つまり、オアハカは現在も「いつ地震がきてもおかしくない状態」です。
この状況は日本列島も全く同じなので「別に気にする必要はない」と思う人もいるかとは思いますが、メキシコの建築は日本の基準とは全く違います。日本では震度4程度ではビクともしなくても、メキシコでは建物全体が崩壊することもあります。
なので、オアハカでホテルを選ぶときは、必ず耐震の意識があるホテルを選ぶのがいいと思います。
ただし、あまりにもボロボロなホテルや、古い建物の民泊には泊まらない方がいいと思います。
3. 交通事故
実は、スリにあう被害よりももっとちゃんと注意した方がいいのが「交通事故」。
オアハカは京都のように碁盤状の街並みなのですが、交差点ごとに信号があります。
ところが、その信号が見にくい位置にあったり、渡ってすぐにまた信号があったり、歩行者天国のノリで歩いていると信号無視して危なく轢かれそうになったりと、かなりリスキー。十分注意して歩く必要があります。(オアハカの車は容赦なく走ってきます。車優先状態です。)
オアハカの治安と注意点のまとめ
後半はあまり「治安」とは関係ない話題もあり、注意すべきことなども紹介しましたが、オアハカは十分安全な街です。
オアハカは、スリなどの軽犯罪もヨーロッパのほとんどの街より発生数が低く、重犯罪にあう可能性は限りなく低いので、とても安心して過ごすことができます。
その証拠に、日本の添乗員付きツアーでも「オアハカは、お客様に自由行動時間をとってもらって大丈夫な街」という認識になっているんだそう。(わたしの母も一人歩きしてました)
注意すべき点をまとめると、以下の通り。
- 持ち物は常にしっかり管理
- ホテル:なるべく安全な地域(中心部〜北部)の、しっかりしたホテルに泊まる
- 南部やアバストス市場周辺に行く際は、特に持ち物に気をつける
- 信号をしっかり守る(交通事故防止)
- 万が一マエストロが中心部で活動を始めたら、ホテルで待機
これを守っていれば、安全に過ごせるはず!
メキシコシティよりも圧倒的に安全ですし、夜出歩いても大丈夫なのも安心です。
オアハカは、本当に見所や美味しい食べ物、可愛い雑貨がいっぱいで、魅力溢れる楽しい街です。注意すべきところに注意しながらも、警戒しすぎず楽しんでください♪
これからオアハカに行く人は、こちらの記事もどうぞ。(↓)