メキシコのオアハカ州は、アルテサニア(民芸品)の生産が盛んな、手仕事の宝庫。
オアハカ市の近くには、日帰りで訪れることのできる距離に「手仕事が盛んな村」がたくさん集まっています!
各村では、いろんな職人の個性的な作品の中から、「お気に入り」を探すことができます。そこで出会う作品は、世界に一つだけの一点もの。
せっかくオアハカを訪れるなら、近くにある村の名産品を知り、少し足を延ばして買い物を楽しんでみましょう!
買い物好きや、かわいいもの・メキシコ雑貨好きなら、絶対に楽しいアクティビティです!✨✨
オアハカの「一村一品」
「一村一品運動」は、ある地域を、
「○○といえば、ココ!」
というように、なにかひとつの製品の名産地にすることを目的とした、地域を活性化するための運動です。
日本では大分県が有名ですが、遠く離れたメキシコの地オアハカでも、同じようなアイデアの地域振興運動が取り組まれています。
オアハカではモノ作り分野での一村一品運動が盛ん
日本では、基本的に食べ物(ブランド牛、果物など)が一村一品運動の目玉ですが、
ここオアハカでは「Artesania(アルテサニア)」と呼ばれるメキシコの民芸品(フォークアート)が名物として推されています。
たとえば……
- Coyotepec村=黒い陶器
- Teotitlan村=羊毛ラグ
…という感じで、ひとつの村が、特定の民芸品に特化していて、各村には専門の職人さんがたくさん住んでいるのです。
「民芸品」であり、「先住民アート」でもある
また、オアハカの村で作られているアートの多くは、この地域に昔から住んでいる先住民(サポテコ、ミステコなど)の血を引く人々が作っています。
彼らは、残っている古代遺跡の石壁モザイクからインスピレーションを得て新しいデザインを作り出したり、古代メキシコの時代から続く自然染の手法を生かしたりして、伝統と現代が交差するような自由なものづくりをしています。
彼らにとって、ものづくりは自分たちの民族的アイデンティティにも繋がった仕事なのです!
今回は、そんな「魔法のルート」にある手仕事の村6か所と、さらにルート外の手仕事の村4か所について、紹介します!
「魔法のルート」の村6か所
手仕事で有名な村々を繋ぐ大通りは、「Ruta Magica(魔法のルート)」と呼ばれ、世界中から、たくさんのメキシコ雑貨のバイヤーや手仕事好きの人々が集まっています。
まず、「魔法のルート」に含まれる村から紹介します!
魔法のルートは、以下の通り。
image by:RUTAS TURÍSTICAS DE OAXACA: RUTA MÁGICA DE LAS ARTESANÍAS
このルートに含まれる村は、以下の6つです。
- Santa María Atzompa(サンタ・マリア・アツォンパ)
- San Bartolo Coyotepec(サン・バルトロ・コヨテペック)
- San Martín Tilcajete(サン・マルティン・ティルカヘテ)
- Santo Tomás Jalieza(サント・トマス・ハリエサ)
- San Antonino Castillo Velasco(サン・アントニーノ・カスティージョ・ベラスコ)
- Ocotlán de Morelos(オコトラン・デ・モレーロス)
①Santa María Atzompa(サンタ・マリア・アツォンパ)は、オアハカの街の西にあるのですが、②~⑥までは南方面の「国道175号線」沿いにあります。
それでは、それぞれの村について、詳しく見ていきましょう!
①素焼きの村、Santa María Atzompa(サンタ・マリア・アツォンパ)
ここには、素焼きで様々な作品をつくる職人さんが多く、素焼きの人形、食器、壺、アクセサリーなどさまざまな素焼きが作られています。
かなり細かい装飾のものもあり、アツォンパ村の陶器はオアハカのお店でも大人気なんだそうです!
場所 | オアハカから西方面。タクシーで片道15分 |
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マップ | |
オアハカ市からの行き方 | タクシー、乗り合いタクシーの利用がおすすめ。 |
人気度 | |
オアハカでしか買えない度(レア度) |
サンタ・マリア・アツォンパの写真
詳しくはこちら(↓)
②黒い陶器の村、San Bartolo Coyotepec(サン・バルトロ・コヨテペック)
ここ「サン・バルトロ・コヨテペック村」も、陶器で有名な村です。村のほとんどの家が陶器作りに携わっていて、村を歩くとお店がいっぱい。
ここの陶器は特徴は、真っ黒な表面。「Barro Negro(バロ・ネグロ=黒い陶器)」と呼ばれるここの陶器には、光沢がありツヤツヤしています。これ、釉薬の影響ではなく、焼く前にしっかり磨くことでこの光沢が出るんです。
ナイフによって手仕事の「透かし」の入ったものが多く、とても手が込んだ特別な陶器です!
ちなみに、このバロネグロは水分に弱いので、食器や花入れには使わない方がよさそう。ランプシェードや、壁飾り、アクセサリーが人気みたいです。
場所 | オアハカ市から南方向へ、車で片道20分。 |
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マップ | |
オアハカ市からの行き方 | 乗り合いタクシーの利用がおすすめ。 |
人気度 | |
オアハカでしか買えない度 |
サン・バルトロ・コヨテペックの写真
③木彫りの村、San Martín Tilcajete(サン・マルティン・ティルカヘテ)
サン・マルティン・ティルカヘテ村は、木彫りの村!オアハカで一番人気の村でもあります!
ここで作られる木彫りは、「アレブリヘ」や「オアハカン・ウッドカービング」と呼ばれていて、世界中にファンがいるほど有名。動物をデフォルメしたユニークな木彫りを、メキシコらしいカラフルな色彩で彩ります。
職人ごとに個性も光り、人気の作家さんの作品は10万円を超えるものも…!もちろん、そこまで高いのはごく一部で、村ではもっとお得に購入することができます。
自分の「お気に入りの一品」を探しに、お店を訪ね歩くのも楽しいですよ^^
メキシコシティやカンクンなどでも手に入りますが、オアハカではよりユニークで面白いものを、より安く見つけることができます!
場所 | オアハカの南方向へ、車で40分 |
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マップ | |
オアハカ市からの行き方 | アバストス市場発の、乗り合いタクシー(サンマルティンティルカヘッテ行き or オコトラン行き)がおすすめ |
人気度 | |
オアハカでしか買えない度 |
サン・マルティン・ティルカヘテの写真
https://allartesania.com/craftmen-oaxaca-sanmartintilcajete/
④腰織物の村、Santo Tomás Jalieza(サント・トマス・ハリエサ)
サント・トマス・ハリエサ村は、腰織りの村。スペインによる植民地化の古代メキシコ文明のころから続いている腰織の技術が、今も現役で受け継がれています!
腰織の中には、マットくらい大きなものや、ミサンガのように細いものまで、様々なサイズがあります。一番人気は、とっても細くて細かいミサンガサイズ。糸が細いため、力加減など繊細な技術が必要になり、一番難しいんだそうです。全ての柄に意味があり、サポテコの人々の祈りが込められています!
わたしは、ここでデジカメ用のポーチを買ったのですが、何年たっても壊れずとっても物持ちがいいです!色使いや組み合わせがカラフルで可愛いので、ちょっとしたポーチやバッグの購入もおすすめ。
村の広場には、毎日ちょっとした織物の市場が出ていて、誰でも気軽に訪れて買うことができます。
サントトマスハリエサの織物は、木彫りや陶器と比べるとまだ知名度が低いので、狙い目!メキシコの他の地域では買う機会は滅多にありません。
場所 | オアハカの南方向へ、車で40分(サン・マルティン・ティルカヘテの、道路を挟んで向かい側の村) |
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マップ | |
オアハカ市からの行き方 | アバストス市場の乗り合いタクシー(Ocotlan行き)利用がおすすめ。 |
人気度 | |
オアハカでしか買えない度 |
⑤花刺繍の伝統衣装の村、San Antonino Castillo Velasco(サン・アントニーノ・カスティージョ・ベラスコ)
日本人女性に一番人気の村が、ここ「サン・アントニーノ・カスティージョ・ベラスコ」、通称「サンアントニーノ村」です。
ここでは、花の刺繍がぎっしり入った、とても可愛い伝統衣装が作られています。
様々な民族衣装が存在するオアハカの中でも、サンアントニーノの伝統衣装の可愛らしさは特にきわ立ち、世界中にファンがいるほど!日本でも、最近ファッション雑誌やメキシコの手仕事の本で紹介されたようで、知名度も着実に伸びています。
素晴らしい職人さんの丁寧な刺繍は、ため息がでるほどの美しさです!とくに最近出てきたパンジーの刺繍は花びらのグラデーションも美しい!
丁寧な手仕事によって作られた「作品」を身にまとうと、本当に幸せな気持ちになります。サンアントニーノ村には、刺繍服専門のショップも数か所ありますし、職人さんの家を訪れて、作ったものを見せてもらうこともできます。
金曜日に大規模なティアンギス(先住民市場)が開催される「オコトラン村」のすぐ手前なので、ティアンギスを見に行くついでに訪れてみるのもいいかも。
場所 | オアハカ市から南方向へ、車で1時間(オコトラン村の手前。) |
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マップ | |
オアハカ市からの行き方 | アバストス市場の乗り合いタクシー(San Antonino Castillo Velasco行き、Ocotlan行き)利用がおすすめ |
人気度 | |
オアハカでしか買えない度 |
サン・アントニーノ・カスティージョ・ベラスコの写真
また、あまり知られていないのですが、花の栽培が有名なサンアントニーノ村では「ドライフラワー細工」も有名。これもとってもかわいいです。
ただし、日本には検疫の関係で2018年10月から、ドライフラワーの持ち込みができなくなってしまったので、残念ながら持ち帰れません…。(どうしても欲しいという人は、自己責任で…。)
⑥アートナイフの村、Ocotlán de Morelos(オコトラン・デ・モレーロス)
オコトランは、このあたりで最も大規模な「ティアンギス(先住民市場)」が、毎週金曜日に開催される村です。
ティアンギスでは、美味しいローカルグルメを楽しんだり、見たことのないような野菜や果物が売られている様子を見たり、近郊の村で作られた手仕事が買えたりと、とっても楽しいです!(食後はぜひ「Nieve(ニエベ)」と呼ばれるオアハカのアイスクリームを試してみてください♪)
ティアンギスで見られる人々の熱気と盛り上がりは、「古代メキシコのころから続く、先住民の人々の風景」でもあります。金曜日にオアハカにいる人は、ぜひオコトランまで足を伸ばしてみてください!
そして、この村の手仕事といえば、アートナイフ。中世ヨーロッパ風の装飾が施された、美しいナイフが販売されています。さらに、かわいらしい陶器の人形を作る人もいます。
ティアンギスでは、そんな近所で作られた可愛い手仕事もいろいろ販売されているので、ぜひチェックしてみてください。
場所 | オアハカ市から南方向へ、車で1時間(オコトラン村の手前。) |
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マップ | |
オアハカ市からの行き方 | アバストス市場の乗り合いタクシー(Ocotlan行き)利用がおすすめ |
必見度 | |
手仕事のバリエーション |
オコトラン・デ・モレーロスの写真
「魔法のルート」外の、手仕事で有名な村4か所
魔法のルートには含まれていなくても、手仕事でとっても有名な村はまだまだあります。
どこもオアハカから数十分~1時間程度で行くことができるので、要チェック!
- Teotitlan del Valle(テオティトラン・デル・バジェ)
- Tlacolula de Matamoros(トラコルーラ・デ・マタモロス)
- San Marcos Tlapazola(サン・マスコス・トラパソラ)
- Arrazola(アラソラ)
⑦手織りラグ(タペテ)の村、Teotitlan del Valle(テオティトラン・デル・バジェ)
テオティトラン・デル・バジェ村は、タペテの村。「タペテ」とは、羊毛で織ったラグのこと。「オアハカン・ラグ」とも呼ばれています。
この村に住むほとんどの家庭は、タペテ作りに携わっています。最近は「100%自然染」を売りにしているところが多く、羊から毛を刈るところから、糸を作り、染め、織機で織るところまで、すべてが手作業。(中には、自分たちで自然染の材料を育てている家も!)
ものすごく手が込んでいるうえに、1枚作るのにとんでもなく時間がかかるため、日本で買うと数万~10万円を超えるほどの超高級品です!
生産地であるこの村では、かなりお得に手に入ります。世界のインテリアとしても、かなり人気の高いオシャレアイテムなので、ぜひチェックしてみてください^^
場所 | オアハカ市から南東方向へ、車で20分 |
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マップ | |
オアハカ市からの行き方 | アバストス市場の乗り合いタクシー(Tlacolula行き)利用がおすすめ。190号線沿いの交差点で降りたら、モト(オート三輪)に乗り換えて5分 |
人気度 | |
オアハカでしか買えない度 |
さらに詳しくはこちら。↓
テオティトラン・デル・バジェ村では、あまり知られていないのですが、100%蜜蝋の花のローソクも作られています。
⑧オアハカ中の手仕事が集まる市場の村、Tlacolula de Matamoros(トラコルーラ・デ・マタモロス)
トラコルーラ村でも、毎週日曜日にかなり大規模なティアンギス(先住民市場)が開かれています!ここでは、野菜、フルーツ、お肉などの食品はもちろん、美味しいグルメのお店もいっぱい。
さらに、近くの村々の手仕事(テオティトラン・デル・バジェ村のタペテ、陶器、バスケット、刺繍エプロン、伝統衣装など)が売られていることも多く、手に入るバリエーションもかなり豊富!!遠く離れた「イスモ地方」の伝統衣装まで手に入ります。
また、最近日本でも大人気のプラスチック製かごバッグ「メルカドバッグ」の出店もあり、お得に購入することができます。
オアハカ中の様々な手仕事が手に入るので、日曜日にオアハカにいる人はぜひ訪れてみてください^^
場所 | オアハカ市から南東方向へ、車で1時間 |
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マップ | |
オアハカ市からの行き方 | アバストス市場の乗り合いタクシー(Tlacolula行き)利用がおすすめ。 |
必見度 | |
手仕事のバリエーションの豊富さ |
トラコルーラ・デ・マタモロスの写真
さらに詳しく(↓)
⑨赤い陶器の村、San Marcos Tlapazola(サン・マルコス・トラパソラ)
サン・マルコス・トラパソラ村の名物は、赤い土を使った「Barro Rojo(バロ・ロホ=赤い陶器)」。赤褐色の味わいのある陶器で、食器や置物が人気です。
実はバロロホは、オアハカの高級レストランで使われることもとても多く、オアハカの家庭でも使われている「ローカルに愛される陶器」なんです!
バロ・ロホの作品はどれも素朴なデザインで、動物をかたどった陶器も可愛いです。
遠いので、わざわざここの村まで行くのは少し大変ですが、バロロホはトラコルーラ村のティアンギスやオアハカ市内のお店でも手に入るので、覗いてみるといいかも。
場所 | オアハカ市から南東方向へ、車で1時間+乗り合いバンで30分 |
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マップ | |
オアハカ市からの行き方 | アバストス市場の乗り合いタクシー(Tlacolula行き)に乗り、トラコルーラに到着したら乗り合いバンに乗り換えてサン・マルコス・トラパソラへ。 |
人気度 | |
オアハカでしか買えない度 |
⑩木彫りの村、Arrazola(アラソラ)
アラソラ村は、サン・マルティン・ティルカヘテ村の次に有名な「木彫りの村」。
カラフルに彩られた木彫りが、村にあるお店でたくさん売られています!アラソラ村には有名な作家さんもいて、ついこの間「イッテQ」で、イモトがここの村の職人さんを訪れていました。
村まで訪れる人はあまりいないようで、ここで作られた作品はオアハカ市内のショップでも購入できます。
場所 | オアハカ市から西方向へ、車で30分(Xoxocotlan経由) |
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マップ | |
オアハカ市からの行き方 | アバストス市場周辺の乗り合いタクシー(Arrazola行き)利用がおすすめ。 |
人気度 | |
オアハカでしか買えない度 |
アラソラの写真
さらに詳しく(↓)
https://allartesania.com/alebrije-arrazola-oaxaca/
まとめ
以上、オアハカ周辺の「手仕事の村」まとめでした。
赤①~⑥:魔法のルート | オレンジ⑦~⑩:魔法のルート以外 |
- 素焼きの村、Santa María Atzompa(サンタ・マリア・アツォンパ)
- 黒い陶器の村、San Bartolo Coyotepec(サン・バルトロ・コヨテペック)
- 木彫りの村、San Martín Tilcajete(サン・マルティン・ティルカヘテ)
- 腰織物の村、Santo Tomás Jalieza(サント・トマス・ハリエサ)
- 花刺繍の伝統衣装の村、San Antonino Castillo Velasco(サン・アントニーノ・カスティージョ・ベラスコ)
- アートナイフの村、Ocotlán de Morelos(オコトラン・デ・モレーロス)
- 手織りラグ(タペテ)の村、Teotitlan del Valle(テオティトラン・デル・バジェ)
- オアハカ中の手仕事が集まる市場の村、Tlacolula de Matamoros(トラコルーラ・デ・マタモロス)
- 赤い陶器の村、San Marcos Tlapazola(サン・マルコス・トラパソラ)
- 木彫りの村、Arrazola(アラソラ)
今回は、村だけ紹介しましたが、実は、村に限らずオアハカ市内にも腕のいい職人さんはたくさんいます。(彼らの作品は、オアハカ市内のショップで購入できます。)
オアハカは、職人たちのたくさんいる「手仕事天国」なのです!
オアハカに行く人は、ぜひ少しだけ足を伸ばしてオアハカの村で行われている伝統的な手仕事を見に行ってみてください^^
村を巡る、現地ツアーもあるよ
もし、自力で行くのが面倒・自身がないという人は、現地ツアーで職人の家を訪ねることができます。
- 手織りラグ(タペテ)のテオティトラン・デル・バジェ村
- 木彫りのアラソラ村
この2つの村は、催行しているツアーも多いです!
英語とスペイン語で、しっかり手仕事を作る工程の説明をしてくれます。(むしろ個人で訪れるよりも、しっかり説明してくれるかも。)
超安い(1人1,000円~!)し、前日予約もOKなので、興味のある人はぜひチェックしてみてください^^(↓)おすすめです!