ディズニーのピクサー最新映画『リメンバー・ミー(英題:『Coco』)』、見ましたか?
ところで、「リメンバー・ミーの可愛くて面白い世界観は、ただのフィクション」だと思っていませんか?
もちろん物語自体はフィクションですが、あそこに登場する多くの飾りやモノの多くは、本当にメキシコで作られているもの・使われているものなんです!
もくじ
メキシコの可愛いフォークアートたち♪
『リメンバー・ミー』内では、実在するメキシコの可愛いフォークアートがたくさん登場していました!
しかし、映画中ではそれらのフォークアートについての説明はほとんどありません。
メキシコのフォークアート研究をしているわたしとしては、
「みんなにメキシコのフォークアートの魅力を知ってもらうのに、こんないい機会を逃すべからず!!」
という勢い(?)のもと、映画に登場するフォークアートを目敏くチェックし続け、ついに
「リメンバー・ミーの映画の中で登場したフォークアートのまとめリスト」
という名のこの記事を作成するに至りました!!
…というわけで、メキシコのフォークアートについて魅力をバッチリ紹介していこうと思います!
※著作権に触れてしまうため『リメンバー・ミー』の実際の場面と一緒に紹介することは、残念ながらできません…。が!また今度映画を見たときに探してみるのも楽しいと思います^^♪
パペル・ピカド
まずは、パペル・ピカドから。
パペル・ピカドとは、「メキシコ流切り絵」のこと。
『リメンバー・ミー』では、最初のシーンでプロローグを説明する際に使われていましたね。
メキシコでは、お祭りやイベントの際には、たくさんのカラフルなパペル・ピカドが街中を鮮やかに飾ります♪
パペル・ピカドを見ると、誰もが「お祭りが始まる~!!」とワクワク気分に。
しかもこれ、基本的に伝統的な手作業で作られているんですよ~。神業すぎる。
実はパペルピカドは、もともとは中国からの移民が春節に中国の伝統切り絵「剪紙(せんし)」を作っているのを見て、メキシコ人がマネしたのが始まりなんです。
今ではメキシコを代表する大人気のフォークアートです!
アレブリヘ
メキシコには、「アレブリヘ」と呼ばれるフォークアートが2種類あります。
どちらも「架空の生き物」をテーマに作ったもので、紙製のもの・木彫りのものがあります。『リメンバー・ミー』の中では、主に木彫りのアレブリヘが登場していましたね。
重要キャラクターの「ペピータ」(カラフルな、ライオン×ワシ×蛇のキメラ。ママ・イメルダの相棒)も、アレブリヘのキャラクターでした。
それと、主人公ミゲルの相棒でシェロ犬の「ダンテ」も、最後はアレブリヘ化してカラフルになっていましたね!
アレブリヘの特徴は、映画でもわかるように「ビビッドなカラフルさ」と「不思議な模様」。
メキシコの「オアハカ州」には、アレブリヘを専門で作る村が2,3か所あり、数百人のアレブリヘ職人たちが、毎日木を彫って絵付けをしています!
アレブリヘについてはいろんな記事で紹介しているので、詳しく知りたい人は見てみてください♪
⇒オアハカの村へ、メキシコが誇る手仕事「アレブリヘ」を見に行こう!
ワラチェ
「Huarache(ワラチェ)」とは、メキシコの革の編みサンダルのこと。シンプルに、「サンダル」という意味でも使われます。
映画の主人公ミゲルの家族は、代々靴職人という設定でしたが、祭壇に飾ってある遺靴(?)の一つがワラチェ・スタイルでした!
オリジナルは、メキシコのハリスコ州などの山間部に住む「ウイチョル」という民族が作った革製の編み靴ですが、近代に入りメキシコ全土で作られるようになりました。
最近だと、NIKE(ナイキ)が「ハラチ」という大人気シリーズを出しており、それも実は元はメキシコの「huarache」からインスピレーションを得て作ったものなんです!
ちなみに、メキシコには他に「ワラチェ」と呼ばれる食べ物もあります!
楕円形の厚めトルティーヤにキャベツ、豆ペーストやお肉、チーズをふりかけた屋台飯で、わたしも大好きなメキシカンフードです^^
これも、楕円形のトルティーヤをサンダルに見立てて名付けているようです。
シュガースカル
「シュガースカル」とは、全て砂糖でできたガイコツの置物のこと。
「ガイコツ」といっても恐ろしいものではなく、カラフルなアイシングやアルミホイルなどで飾りつけられ可愛らしい雰囲気です。
死者の日(毎年11月1、2日)が近付くと、メキシコ中のメルカド(市場)で見かける、死者の日の名物でもあります!
(↑)上から2段目の中心に、シュガースカルが。
映画の中では、ミゲルの家族が住む村のお墓や祭壇にたくさん飾られていましたね。
「砂糖で作られている」といっても、もちろんこの砂糖の塊を食べるわけではなく、飾り用です。メキシコには、シュガースカル専門の職人もたくさんいますよ~!
メキシコ流ギター
ギター職人も、メキシコにはたくさんいます!なんて言ったって、メキシコは「マリアッチ(音楽隊)の国」だから!
『リメンバー・ミー』は、音楽がテーマの物語なのでいろんなギターが出てきました。
- 最初の方のシーンで、ミゲルが靴磨きをしていたマリアッチのおじさんもギターを持っていましたが、あれはメキシコでかなりオーソドックスな形の「寄せ木細工のギター」です。
- そして「死者の国」で、生者の国で忘れ去られ、死者の国からもいなくなってしまった「チチャロン」というキャラクターがいましたね。彼のギターは、彼がずっと大事にしていただけあって「貝細工」が施してあるとても立派なものでした。
- あとは、デラクルスの持っていた白いスカルヘッドのギター。あれにも貝細工が入っていましたね。
貝細工のギターは、メキシコでもなかなか見られないレアもので、プロの音楽家やマリアッチでないと持つことのない高級品です。
キラキラしているのは、貝殻の内側の真珠層の薄い板を張りつけているんです。日本では、「螺鈿(らでん)」と呼ばれる伝統工芸の装飾技法で、メキシコにも専門の職人が少数ながらいます。
寄せ木細工や貝細工は日本でも作られていますが、こんな風に日本にもある民芸品がメキシコにもあることって意外と多いんです!
たとえば「漆塗り」も、メキシコでは古代文明の時代から作られていました。メキシコの漆は、最近日本でも話題のスーパーフード、「チアシード」のオイルを使っていたようです。
こんな風に、日本とメキシコの伝統仕事の間に共通点を見つけることができるのも、メキシコのフォークアートの醍醐味だったりします^^
ピテアド
ピテアドは、個人的に大好きなメキシコのフォークアートの一つで、「リュウゼツランの繊維の刺繍」です。(リュウゼツランとは、おなじみ「テキーラ」の原料になる蘭科の植物です。)
馬の鞍や、革ベルトに施される伝統装飾で、ミゲルが死者の国に持っていった古い写真の、「音楽家だったひいひいおじいちゃん」が身に付けていました。
大きいスクリーンでないと、わかりにくいかもしれませんが…(-_-;)
ほかにも、映画中ではデラクルスやマリアッチたちが見に付けているシーンもあります。
ピテアド作りの技術はとっても難しく、年々職人が減っている「絶滅危惧のフォークアート」でもあり、超レア品です!最近では、マリアッチが衣装として見に付けているのを見かける程度です。
わたしも、メキシコでマリアッチに遭遇するたびに、「どんなピテアドのデザインなのか」と目を光らせ、毎回ジロジロとチェックしています。笑
(↑)盗撮。(笑)
アジア産の偽物はよく売られているのですが、本物は一目見てわかる美しさと繊細さ。
なんと古代文明のころから作られており、植民地時代に大西洋を超えてやってきたスペイン人たちは、先住民たちによるピテアドの洗練された技術にとても驚いたそうです!
プエブラの伝統ドレス
プエブラの伝統ドレスとは、映画の中で「ココおばあちゃん(ママ・ココ)」がいつも着ていた、可愛い刺繍服のこと!
これは、もとはメキシコのプエブラ州で作られ始めたドレスですが、最近ではオアハカ州など他の州でもたくさん作られるようになりました。
メキシコは民族多様性の国なので、数えきれないほどの伝統衣装・民族衣装があります。が、その中でもこのプエブラ・ドレスは一番人気と言っても過言ではないくらい、大人気!
最近は機械刺繍のプエブラドレスも多いのですが、手刺繍で丁寧に作られたプエブラ・ドレスは本当に美しいです^^
プエブラドレスは、厳密には一つの民族に属する民族衣装ではないので、だれにでも開かれた「メキシコらしい服の代表格」です。
簡単に手に入るので、プエブラドレスを着てメキシコ人になりきってメキシコ旅行を楽しむのもおすすめ^^
オアハカの伝統衣装いろいろ
ほかにも、映画では伝統衣装がいろいろと出てきました。
『リメンバー・ミー』の舞台は、オアハカ州っぽい(ピクサーによる取材も主にオアハカでしたし。)のですが、そのオアハカ州の伝統衣装がいくつか出てきます。
マサテコの刺繍服
一つ目は、オアハカ州南部に住む「マサテコ」という民族が作っている刺繍服です。
映画では、この服を着たミゲルのおばさんが「黒地にピンクのマサテコの刺繍服」を着ていました!(ミゲルのギターが見つかって、家族に怒られるシーンです。)
黒地系は最近の流行りらしく、オアハカの街でよく売られているところを見かけます!
映画でも、チェックしてみてください^^
フチタンの服&金の耳飾り
「フチタン」とは、これまたオアハカ州の南部にあるサポテコという民族の住む街です。
ここの名産品は、なんといっても美しい伝統衣装!!
映画の中では、ヘクターが衣装を借りたマダムが仕立てをしていたのに加えて、「フリーダ・カーロ」が愛用していましたね。
「フリーダ・カーロ」は、実在した伝説の女流画家で、メキシコで最高のアーティストの一人といわれています。彼女の感性は独特で、「女性であること」・「生きること」の、悲しみ、痛み、苦しみ、喜び、希望を表現し、世界中で評価を受けました。
彼女は、生前は実際にフチタンの服を日常的に愛用していて、フチタンの服を着た自画像も残っています!
『Tree of Hope 』 Frida Kahlo作(1946)
フチタンの服は、彼女の夫である「ディエゴ・リベラ氏」も好んだとも言われ、彼の愛を繋ぎ止めるために着ている時期もあったんだとか。(リベラ氏、超浮気体質だったので…。)
フリーダとフチタン(もしくは「テワンテペック」)の繋がりについては、過去にこちらの記事でも紹介しています。
そして、フチタンの女性が「ハレの舞台」でこの伝統衣装と一緒に見に付けるのが、金のアクセサリー!
映画の中のガイコツ版フリーダ・カーロも、ばっちり金のピアスをしていましたね。この部分については、めっちゃ細かく現実に忠実なので感動しました!
張り子の飾り
「張り子」とは、竹などで組んだ枠に紙や粘土を張りつけて作る技術のこと。
中が空洞になっていて、「はりぼて」とも呼ばれています。その魅力はマットな質感と、素朴でひょうきんな風合い。
映画の中では、張り子の飾りは「デラクルスがリハーサルをしている」と言われてミゲルが行った会場にありました。(一瞬だけ映ります。)
それにしても、一目で「はりこ」だとわかるような武骨でマットな張り子の質感の表現がスゴすぎる…。さすがピクサーの映像力!!
はりこの飾りは、メキシコの首都「メキシコシティ」で伝統的に作られていて、現在でも職人がたくさんいます。
その職人の多くは、「ピニャータ」というお祭りの時に叩く”メキシコ風くすだま“作りをしていて、メキシコシティの歴史地区にはピニャータを専門で扱うお店が軒を連ねる「ピニャータ・ロード(勝手に名付けました。笑)」があります!
ピニャータの中には飴やお菓子がたっぷり詰まっていて、メキシコでのクリスマスや結婚式、お祝いのパーティで登場します。歌に合わせて木の棒で叩き割る「ピニャータ割り」は、子供たちが大好きなイベントです!!
そして、最近の人気ピニャータはまさかの「トランプ大統領」を模したピニャータ。
トランプ大統領を木の棒でガツンと叩くという、「メキシコ流・トランプ大統領に対する腹いせ(?)」がひそかに行われていたりします。(笑)
アスレージョ(装飾タイル)
「アスレージョ(Azulejo)」とは、スペインやポルトガルで15世紀ごろから伝統的に作られている「装飾タイル」のことで、主に青い塗料が使われたものが「アスレージョ」と呼ばれています。
植民地時代にヨーロッパからメキシコにやってきて以来、メキシコのプエブラ州でたくさん生産されはじめ、プエブラは今でもアスレージョの名産地です。
プエブラの街中にはアスレージョに包まれた建物がたくさん!とてもカラフルで美しい、コロニアルな雰囲気の街並みです。
この「アスレージョ」、映画のどのシーンに登場するかわかりますか?
どこかのシーンに、壁が全面アスレージョになっている場所があります!一瞬しか映らないので、ムズカシイかもしれませんが…探してみてください^^
まとめ
この記事で紹介した『リメンバー・ミー』に登場するメキシカン・フォークアートをまとめると…
- パペル・ピカド
- アレブリヘ
- ワラチェ
- シュガースカル
- メキシコ流ギター
- ピテアド
- プエブラの伝統ドレス
- オアハカの伝統衣装いろいろ(①マサテコの刺繍服、②フチタンの服&金の耳飾り)
- 張り子の飾り
- アスレージョ(装飾タイル)
以上、10種類のフォークアートを紹介しました♪
他にもたくさん出てくるのですが、キリがなくなってしまうのでわたしが2回映画を見た中で見つけられた分だけピックアップしてます!
もし、
- 「このフォークアートも出てたよ!!」
- 「これは何??」
って意見・質問があれば、どうぞ気軽にお問い合わせください^^
そして、
「こんなフォークアート、映画に出てきたっけ…?」
という人は、ぜひ映画を見直して、ここで紹介しているフォークアート探しをしてみてください♪
オアハカ率高め
ところで、ピクサーの取材陣がオアハカでの調査が長い分、オアハカ州で作られるフォークアートが登場する確立が高い印象でした!
「オアハカ」は、手仕事やフォークアート作りが盛んでわたしもメキシコの中でイチバン好きな街です♪
(↑)オアハカの街並み
この記事を見て、お気に入りのフォークアートを見つけた人は、思い切って「オアハカにショッピング旅行」などしてみてはいかがでしょうか^^
オアハカについては、こちら⇒(オアハカ情報まとめページ)で紹介しています♪
以上、『リメンバーミーに登場する、メキシコの可愛いフォークアートまとめ♪』でした!
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