メキシコは、食べ物の種類ががとても豊富で美味しいものがたくさんあります。
しかし、たまに「これは本当に食べ物なのか?」と疑わざるを得ないようなモノもあります。
メキシコで唯一の、死ぬかと思った経験
危険な国と思われるメキシコですが、わたしがメキシコで最も
メキシコでわたしがいろいろ食べた中でも、最も「これは、ヤバい」と思った食べ物は、ハバネロエキスに漬けたピクルスでした。
「ハバネロ」とは?
日本のスナック菓子にも、「暴君ハバネロ」ってありますね。なので、おそらく日本人でも知っている人は多いと思います。
ハバネロは、とにかくものすごく辛い、恐怖の唐辛子です。
暴君ハバネロよりも本物の方が圧倒的に辛いです。
そんなハバネロの辛さは、なんと約300,000スコヴィル!!
(スコヴェル=辛さの単位なんだそうです。そんな単位があったとは…)
スコヴェルに合わせていろいろ食べ物を並べてみると、そのすごさが分かります。
- 0スコヴィル:ピーマンや辛くないシシトウ
- 100-500:コショウ
- 1万5千~9万スコヴィル:普通の催涙スプレー
- 18万スコヴィル:最強の催涙スプレー
- 30万スコヴィル:ハバネロ
なんと、ハバネロは最強の催涙スプレーの約2倍の辛さを誇ります…!
なぜ食べ物として認知されているのかすら謎なのですが、とにかくこのハバネロが、メキシコでは日常的に食べられています。
ちなみに、シシトウに辛いものと普通な物があるように、ハバネロの辛さにも個体によってバラつきがあります。
最もマイルドなもので10万スコヴィル、最辛だと、なんと50万スコヴィルを超えるのだそうです!
ハバネロエキスのピクルスの脅威
そんなハバネロの辛みを凝縮したエキスで野菜を漬けた「ハバネロ・ピクルス」は、タコスの屋台に普通に付け合わせとして置いてあります。
ハバネロエキスは無色透明なので、そのピクルス野菜はただのカット野菜のように見えます。
その一見無害そうな見た目が、わたしたちのような無知な外国人に悲劇をもたらします。
わたしの恐怖体験
わたしは、その日友達に会う予定で、腹ごしらえにとタコス屋台に寄りました。
いつも通り、サルサ(ソース)を適当にかけ、今日は野菜もとっておくか、と置いてある玉ねぎを少しだけ乗せ、一口食べました。
すると…
口の中が、ぶわああああああっと熱くなり、痛くて痛くて、勝手に涙がボロボロ溢れ出てきました。
本当に、口の中だけ炎で燃やされているような辛さでした。
その痛みは、ピリピリとかではなく、「ギュウォン、ギュウォン」という感じです。
例えるなら、口内で釘バットを持った人が3人くらい暴れているようでした。
そして、口のコントロールがきかなくなり、よだれが床まで垂れました。(すみません。)
顔の穴という穴がコントロールできなくなり、目からはボロボロ涙、花からは鼻水、口からは涎が出て、なんと耳の穴も、奥の方がじ~んと熱くなり、中耳炎のように痛くなりました。
今まで、どんなに辛いものを食べても、「耳が痛くなる」ということはなかったので、これはやばいと思いました。
顔は真っ赤で、何も話せず、まるでドラマで毒を盛られた人のように、「カハッ!」としか声が出ず、すさまじい形相で一人大惨事になっていました。
すると、見かねた店のおじちゃんが、「ほらっこれを飲め―!!!」とコカ・コーラを渡してきました。
何も考えずそれを一気飲みすると、炭酸でさらに口内の刺激が増し、一瞬記憶がなくなりました。
何度も、意識の境界線を行ったり来たりしながらコーラを飲み続け、少し冷静になってから、「これは逆効果だ」と気付き、飲むのをやめました。
そして、口を閉じていると痛くて堪えられないので口を開けたまま真っ赤な顔で数分間立ち尽くしました。
少しずつ治ってきたところで、タコス屋のおじちゃんが
「この玉ねぎを入れたんだろ!これは、ハバネロエキスが入っているから辛いんだぞ。」と教えてくれました。
完全に油断しました…。私は今まで、「辛いものは、赤かったり、緑だったり、とにかく何かしらの目印があるもの」だと思いこんでいました。
しかしその玉ねぎは、本当に一見ただのカット野菜で、よかったらお野菜どうぞ~くらいのマイルドな存在感だったのです。
この見た目から、こんな凶暴な味は想像できませんでした。
「もう二度と、タコス屋台のテーブルにある玉ねぎは追加しない」、と心に誓いました。
わたしは一口で降参し、「タコス丸ごと食べたら致死量になるのでは?」とすら思いましたが、タコス屋台で食べている他の人達は、みんなおいしそうにそのハバネロピクルスを食べていました。
とりあえず、残りのタコスは「ごめんなさい、辛すぎて食べられないです」と言っておじちゃんにお皿を返すと、おじちゃんはなんともう一つタコスを無料で作ってくれました!
さっきは、まったく味は感じられなかったのですが、辛みなしで食べたらとても美味しいタコスでした。
メキシコの恐ろしさと優しさに、同時に触れた出来事でした。
体への影響
ちなみに、そのあとは体調が悪くなりました。
なんだかお腹のあたりが熱くて、気持ち悪いような、変な感じなのです。
その感覚は寝る前まで続き、次の日はトイレで苦しむ羽目になりました。
あのハバネロエキスを日常的に摂取しているメキシコ人は、舌だけでなく消化器官も鉄の様に丈夫なんだと思います。
日本人は、いくら辛いもの好きな人でも、舌は堪えられてもあれを問題なく消化することはできないんじゃないかな、と思います。
人間の体は適応していくものらしいので、メキシコ人のように辛いものをずっと食べ続ければ、あそこまで到達できるのかもしれません。
アフリカで、ガラスの破片まみれの中元気に駆け回る鉄の足の裏を持つ人たちを見たときも思いましたが、「人体の適応能力ってすごいなあ」としみじみ感じました。
さいごに
とにかく、メキシコでは、ハバネロエキスのピクルスには気を付けてください。
玉ねぎではなくパプリカの場合もあるので、一見無害な「ただの野菜」のトッピングは絶対に避けましょう。(においをかいでもわかりません。むしろ、むせこむ危険性があります。)
わたしが一人大惨事を引き起こしたタコス屋台は、メキシコシティのメトロ終点、「クアルト・カミーノ」という駅の中にあります。
「もう日本の辛いものには満足できない」という超辛党の人は、ぜひ行って、挑戦してみてください!
そして、結果を教えてください。(笑)