メキシコの首都「メキシコシティ」から行けるユネスコ世界遺産をまとめました。
メキシコの全35の世界遺産のうち、なんと14箇所は、メキシコシティから片道4時間以内の場所にあります。
今回は、その中でも
- メキシコシティの「中」にある世界遺産、3つ
- メキシコシティから日帰りが可能(片道2時間以内)な世界遺産、3つ
の合計6箇所を紹介します。
もくじ
メキシコシティの中にある世界遺産3つ
メキシコシティの中には、ユネスコ世界遺産として正式に登録されている場所が全部で3つあります。
3つとも一般公開されており、メキシコシティに滞在中、気軽に訪れることのできる観光地なので、ぜひ訪れてみてください!
(おすすめ順に紹介します。)
1. メキシコシティ歴史地区とソチミルコ
歴史地区
メキシコシティにある世界遺産3つの中でも最も必見なのが、「歴史地区」。スペイン語では「Centro Historico(セントロ・ヒストリコ)」と呼ばれている、メキシコシティの真ん中に広がる碁盤状のエリアのこと。
「メガシティ」と呼ばれるメキシコシティの喧騒のど真ん中にありながら、歴史地区には中世ヨーロッパの時代に建築された建物が立ち並び、名前通りメキシコの歴史を感じることができます。
北部には卸や専門店が連なる商店街や市場が多く、南部には多くのホテルやホステル、食事スポットが集まります。最近はおしゃれなショップやカフェも増えてきて、毎日賑わうメキシコ庶民の「中心地」。
特に週末は多くのローカルが集まり、歴史地区の真ん中にある「ソカロ広場(本名は憲法広場)」では、季節ごとにイベントやデコレーションで賑わいます。
(↑)クリスマス前のソカロ。夜は毎晩周辺の建物がライトアップされます。
メキシコの歴史地区は、もともと標高2,000mを超える湖に浮かぶ、アステカ王国の首都「テノチティトラン」でした。
しかし16世紀に植民地化によってスペイン軍に制圧された後、それまでのアステカの建築(ピラミッドや祭壇など)は全て破壊され、その壊した石材を利用してスペイン風の建物が次々と建てられました。
しかし現在も、街の下にはアステカ時代の遺跡が眠っていて、地下鉄工事の時や水道工事のたびに新しい考古学的発見があるんだとか。
そんな歴史地区、北部は治安は悪いので行かない方がいいのですが、ソカロ周辺〜南部は比較的治安が良く、夜でも出歩くことができます。
また、もともと湖だったメキシコシティは脆弱な地盤なので2017年の大地震では多くの地域が被害を受けましたが、ここ歴史地区だけは、古い建物だらけなのにも関わらず、もともとが島で地盤が丈夫なため被害は少なく済みました。
歴史地区内の見所やおすすめの食事スポットについては、また次回まとめようと思います。
ソチミルコについて
ここも、メキシコシティに行ったらぜひ訪れてほしい世界遺産。かつてメキシコシティが湖だった頃の名残を残す(唯一の)場所で、メキシコシティ市民の憩いの場です。
ソチミルコは「メキシコのヴェネチア」とも呼ばれ、週末には庶民、お金持ち関わらず、メキシコシティに住む多くの人が訪れ、家族や友人とゆっくり船遊びを楽しみます。
ここで使われている木造の船は「トラヒネラ」と呼ばれ、とにかくカラフル!
(↑)船乗り場に並ぶトラヒネラ。ソチミルコでしか見られない景色。
一つ一つの船に「Lupita」「Haria」など人のような名前がついているのも可愛く、船乗りに頼めばソチミルコの迷路のように複雑な水路を巡ってもらえます。(1台だいたい1時間あたり370ペソ=約2,200円。20人くらい乗れます)
植民地時代は、ここはスペイン人やお金持ちの憩いの場でした。今では庶民も楽しめる場になりましたが、近代化や変化の激しいメキシコシティにおいて「数百年間変わらない景色」だと言われています。
長い棒一本で船を進め、方向をコントロールする様子は職人技。
ソチミルコの船遊びでは「船に乗っていること」自体が目的なので、どこかに行くわけではありませんが、自然たっぷりの水路を巡るのはそれだけでとても楽しいです♪
ここに浮かぶ島の多くは、水草を刈り取って固めた「浮島」。
この島の上に、湖の底から引っ張り上げた栄養たっぷりの土で育てるユニークな農業は「チナンパ」と呼ばれ、古代アステカの時代から続くユニークな農法です。
この辺りには珍しい花や鳥も多く、天然記念物も生息しています。
ぜひソチミルコにやってきたら、このトラヒネラにお菓子やドリンクを持ち込んで、メキシコシティローカルと一緒に「船上ピクニック」を楽しんでください。(船乗り場周辺には、ドリンク屋やお菓子屋、軽食屋がたくさん並んでいます)
世界遺産の種類 | 世界文化遺産 |
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登録年 | 1987年 |
行き方 | ・歴史地区…メキシコシティの地下鉄「ソカロ(Zocalo)」下車か、タクシーかUBER(中心部は歩行者天国のため近くまで)
・ソチミルコ…タクシーかUBER利用が楽。地下鉄&バスでも行けるが、ややこしい |
行くべき度 |
2. ルイス・バラガン邸と仕事場
メキシコを代表する有名建築家、ルイス・バラガン。
彼が「自分の住みたい家」を考え尽くして作った、ここ「ルイス・バラガン邸と仕事場」は、彼の自宅兼アトリエです。
メキシコでは唯一(世界でも稀)な、建築家の作品が世界遺産になった稀有なパターン。バラガンが亡くなった現在は、内部ツアー(予約必須)で訪れることができます。
バラガン邸の外見は、非常に質素で地味なコンクリート造りの建物。しかし一度中に入ると、素晴らしい空間や中庭が広がっています。
バラガンは「家」を、他人に見られずにゆっくりくつろぐための場所だと考えていたので、外の世界から完全に遮断したかったのです。この彼の「閉じるスタイル」によって、中に入った人は、まるで自分だけの秘密基地を見つけた時のような、ワクワクした気持ちになります。
そして、「閉じ」ていても閉塞感は一切感じないのがバラガン建築のすごいところ。リビングスペースは緑がいっぱいの中庭と繋がり、太陽の光もしっかり入り、外部とは遮断されつつも開放的な空間になっています。
ルイス・バラガンの建築については、事前に勉強してから訪れた方がバラガンの意図や工夫がわかりずっと面白いので、ぜひ事前勉強を。おすすめは東京堂出版の『メキシコの美の巨星たち』。バラガン建築についての章は、とても読み応えがあります。
世界遺産の種類 | 世界文化遺産 |
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登録年 | 2004年 |
行き方 | こちらの記事(予約方法も紹介) |
行くべき度 |
3. メキシコ国立自治大学の大学都市の中央キャンパス
ここは壁画運動が活発に行われた地として有名で、キャンパス内では著名な壁画化によるメッセージ性溢れれる壁画を巡ることができます。
メキシコでは、今から約100年前の1920年台、ディエゴ・リベラやシケイロスをはじめとする壁画家たちによる芸術復興運動「壁画運動」が盛り上がりました。
壁画家らは、公共施設の壁を自分たちのキャンバスに見立て、芸術性の高いメキシコに関係する絵(風土、歴史など)を描きました。
その背景には、「新時代におけるメキシコ人のアイデンティティーを呼び覚まそう!」と、庶民に革命の意義を訴えるという政府の狙いがありました。
そして、国立大学であるUNAMのキャンパスの建造物には、1949年から3年間かけて、60人以上の建築家、アーティスト、技術者の手で作品が描かれました。
中でも、4面を壁画で埋め尽くしたフアン・オゴルマンのモザイク壁画は、「世界最大級」と言われ、見応え抜群。ここまでくると、もう「壁画」のレベルを超えていますね!
アート好きはぜひUNAMの中央キャンパスを訪れて、大学内を散歩しながら巨大名作壁画を見学してください。ここまでダイナミックでユニークな「野外美術館」は、世界中探してもなかなかありません!!(誰でも入れる&無料!)
世界遺産の種類 | 世界文化遺産 |
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登録年 | 2007年 |
行き方 | 地下鉄駅「Universidad」で下車。地下鉄出口の目の前が入り口 |
行くべき度 |
メキシコシティから日帰りで行ける世界遺産3つ
1. 古代都市テオティワカン
ここは、メキシコシティに行くなら絶対に行くべき「メキシコで一番人気の遺跡」です!
ここは世界で最初にユネスコ世界遺産に登録されたスポットの1つで、テオティワカン文明(1世紀〜8世紀)の時代に作られた巨大都市です。
主な見所は「太陽のピラミッド」、「月のピラミッド」、「ケツァルコアトル神殿」の3つピラミッド。太陽と月のピラミッドには自分の足で登ることもできます!
(↑)一番高い「太陽のピラミッド」
太陽のピラミッドの頂上はパワースポットになっていて、ヨガや瞑想をする人の姿も。
実はテオティワカン遺跡はUFOの目撃率も多く、白装束の宗教団体が儀式にやってくるなどミステリアス・スポットとしても有名。わたしは数十回行ってもUFOは見たこと無いですが(^^;)
壁画や彫刻も状態の良いものが残っていて、見応えバッチリ。
遺跡内は日差しがきついので、早朝に訪れるのがおすすめです。だいたい半日で見終わるので、午後はメキシコシティに帰って他の見所を巡ることもできます。
メキシコシティからの距離 | 50km(1時間) |
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世界遺産の種類 | 世界文化遺産 |
登録年 | 1987年 |
行き方 | 北バスターミナルから専用バスが出ている。 詳しくはこちらの記事 |
行くべき度 |
2. プエブラ歴史地区
プエブラは、メキシコから南東に2時間ほど行ったところにあるコロニアルの街。
かつて植民地時代にスペインが作った街で、ヨーロッパから伝わった陶器(タラベラ)の生産が盛んな町としても有名。街には工房もいっぱいで、現在もメキシコで使われている可愛い絵付けの食器やタイルは、ほとんどがここプエブラで作られています。
陶器産業によって富を築き、そのお金で作られた大教会「Capilla del Rosario」はメキシコバロックの傑作。なんと、「世界の8番目の不思議」として知られていました。
他の街ではなかなか見られない陶器アイテムも見つかるので、お土産物探しをしながら美しい街並みを散歩するのがおすすめです!
メキシコシティからの距離 | 150km(2時間) |
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世界遺産の種類 | 世界文化遺産 |
登録年 | 1987年 |
行き方 | 東バスターミナルか南バスターミナルから長距離バスで1本 |
行くべき度 |
3. ショチカルコの考古遺跡地帯
ここショチカルコ遺跡(ソチカルコ遺跡)は、メキシコシティ周辺ではもっともマイナーな世界遺産。(失礼)
メキシコ好きの間でも知名度は低いのですが、アステカ以前の時代に作られた都市で、美しい壁の石彫が特徴的な古代遺跡です。
ソチカルコとは、ナワトル語で「花の家のある場所」という意味。ここにある建物の一つ「ケツァルコアトル神殿(上の写真)」の装飾が素晴らしかったことが由来とされています。保存状態も良いので、現在でも美しい彫刻を楽しめます。
メキシコシティから直接アクセスはできず、一度「クエルナバカ」という街を経由します。行きにくいのですが、遺跡好き・考古学好きは時間があれば訪れてみてください!
メキシコシティからの距離 | 130km(時間) |
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世界遺産の種類 | 世界文化遺産 |
登録年 | 1999年 |
行き方 | 南バスターミナルからクエルナバカへ行き、乗り換え。 そこからさらにバスかタクシーで30〜40分 |
行くべき度 |
まとめ
以上、メキシコシティから日帰りで行ける6つの世界遺産の紹介でした。
まとめると…
- メキシコシティ歴史地区とソチミルコ
- ルイス・バラガン邸と仕事場
- メキシコ国立自治大学の大学都市の中央キャンパス
- 古代都市テオティワカン
- プエブラ歴史地区
- ショチカルコの考古遺跡地帯
この辺りは、メキシコシティから気軽に訪れることができます。
特に「メキシコシティ歴史地区」、「テオティワカン遺跡」の2つは、メキシコシティまで行ったら絶対に訪れてほしいです!
メキシコシティから片道3〜4時間の世界遺産7つ
他にも、メキシコシティから行ける世界遺産はたくさんあります。
以下の7つは、メキシコシティから車やバスで片道3〜4時間で行くことのできる世界遺産。
- ポポカテペトル山腹の16世紀初頭の修道院群(3h)
- サン・ミゲルの要塞都市とヘスス・ナサレノ・デ・アトトニルコの聖地(4h)
- パドレ・テンブレケ水道橋の水利システム(3h)
- グアナフアト歴史地区と鉱山(4h)
- モレリア歴史地区(4h)
- ケレタロの歴史史跡地区(3h)
- オオカバマダラ生物圏保護区(3.5h)
(リンク先はわたしが過去に書いた紹介記事です)
どこもおすすめですが、できれば最低でも1泊は滞在したい場所なので、ぜひ週末旅行やエクスカーションで訪れてみてください。
メキシコシティには、世界遺産以外にも見所がたくさんあります。
「空中図書館」、「世界一美しい郵便局」、「アメリカ大陸No.1の博物館」、「ルチャ・リブレ(メキシコのプロレス)」など、いろんな見所を以下の記事にまとめているので、ぜひチェックしてみてください^^(↓)