コラム

メキシコのコカ・コーラ消費量は世界一。なぜ?人々の生活を見てみよう!

メキシコ人にとって、コーラは生活必需品。そう断言してもいいほど、コーラは人々の生活に深く根付いています。

コカ・コーラ消費量がぶっちぎりで世界No.1のメキシコ人々の、生活を見てみましょう。

メキシコではコーラなしで生きていけない

個人的に、メキシコでコーラなしで生活するのは非常に難しいです。

もちろん、健康志向の人はコーラを避けることもあると思いますし、可能といえば可能ですが、「飲んではいけない」と我慢することによって、QOL(Quality of Life)が著しく低下する可能性があります。(笑)

ちょっと大げさですが、それくらい、メキシコでは日常的にコーラが消費され、人々の生活に根付いています!

メキシコのコーラ消費量は世界一!

実は、メキシコ人のコーラ消費量は、世界一だと言われています!!

BBCが2016年に発表したニュースによると、

Mexicans are the thirstiest consumers of sugary drinks in the world. Each gets through an estimated 163 litres (36 imperial gallons) on average per person every year – 40% more than an average American (who drinks 118 litres, or 26 gallons).

引用:BCC『The Mexicans dying for a fizzy drink

(↓)訳すと…

メキシコ人は、世界で最も砂糖入りの飲み物を飲むことが多い消費者です。その消費量は、なんと年間一人あたり163リットル(36ガロン)を超えます。その量は、平均的なアメリカ人(118リットル、26ガロン)よりも40%多いものです。

というわけで、まさかのアメリカ人よりも40%多く飲んでいるという事実。(というかまず、一年間で一人当たり「163リットル」ってヤバすぎる…!)

これは、もちろん「社会問題」として世界中で取り上げられています。

メキシコ人の、コーラにまみれた人生

メキシコの人々がコカ・コーラを楽しむ年代は、それこそ「赤ちゃんの時から、死ぬ直前まで」状態。

メキシコシティの小児科の調査によると、なんと0~6か月の赤ちゃんのうち10%、そして2歳までには80%の子供が、すでに砂糖入りの炭酸ジュースを飲まされているんだとか!

これは、単純に「メキシコ人の母親が常識知らずだから」というわけではありません。

かつて、メキシコの田舎では綺麗な水が手に入りにくいという問題がありました。そこで、母親たちは、ボトルに入っていて清潔で、しかもミネラルウォーターよりも安い「コカ・コーラ」を子供に与えるようになったようです。

しかし、その後綺麗な水が手に入るようになっても、「子供に炭酸ジュースを与える」という習慣は風習のように続いています。

メキシコ政府は2014年から、砂糖入り飲料には10%、ジャンクフードには8%の税をかけることにしたのですが、それでも消費量は減りません。

メキシコ人は、完全にコカ・コーラ中毒になってしまっています。

肥満体国・メキシコ

その結果、メキシコは「世界一の肥満大国」にもなってしまっています。

それについてはこちらの記事(↓)でも書きました。まあ、自己肯定力がすごいので精神的には健康そのものなんですけどね…!

世界一自分の容姿が"好き"なメキシコと"嫌い"な日本の違いとは今回は、あるデータからメキシコについて紐解いていこうと思います。 ...

でも糖尿病患者もものすごい数なので、「社会問題」にもなっています。

ちなみに、コカ・コーラを異常なまでに愛してやまない人々のことを「Cocacolera(コカコレーラ)」と呼ぶんだそうです。(おそらく、メキシコ人のほとんど全員が「コカコレーラ」です。)

実際、人々はどこでコーラを消費しているのか

①タコスを食べる時

メキシコの人々がコーラを消費している場面No.1は、まずメキシコのソウルフードである「タコス」を食べる時です。

タコスを食べる時は、問答無用でコーラが必要になります。

これは、感覚を説明するのが本当にとっても難しいのですが…実際に本場タコスを食べると、コーラを飲みたくて仕方なくなります。(笑)

実際、タコス屋でコカ・コーラを用意していないところなんてまずありえませんし、タコス屋でタコスをほうばる人々の手元には、いつでもストローを差したコーラ瓶が。

タコスを買ってから「飲み物は?」と聞かれて、「何もいらない」と答えると、怪訝な顔をされることも。笑

②仕事の休憩時

仕事の合間のリフレッシュとして、多くの人がコーラを飲みます。コーヒーよりも、何よりもコーラ。炭酸でスカッとリフレッシュです!

わたしがメキシコの体力勝負の現場で働いていた時は、みんな休み時間になるたびにコーラをグビグビと飲んでいました。

建設現場や仕事場の近くにコーラの空き瓶が転がっているのは、もはやメキシコの名物風景です。

③食事と一緒に

さらに、仕事現場でのランチ休憩の時には「3リットルコーラ」の巨大ペットボトルが何本も出てきて、それが一瞬でなくなるのでビックリしていました。(その後、無事自分もコーラの大量消費に違和感を感じなくなる恐怖。)

メキシコの家庭でホームステイしたときは、よく晩ご飯といっしょにコーラのペットボトルがテーブルの真ん中に鎮座していました。(だいたい4~6人で2本は飲み干す)

何を食べる時にも、コーラは「とりあえず」出てきます。

そしてみんな、「とりあえず」飲みます。

これほどメキシコ人の生活に密着したドリンクは、ほかにないです。(テキーラよりも飲みます!)

④パーティで

コーラのないメキシコのパーティなんて、酒のない宴会のようなもの。

とくに、子供のパーティにおいては、あらかじめありえないほど大量のコーラのペットボトルを準備しておくのが常識。パーティでコーラがなくなるなんて悲劇は、どうしても避けなければなりません。

10人集まるなら、2リットルを5本。30人なら、3リットルを10本。「一人当たり1リットルは飲む」計算で用意します。

もし、万が一コーラが切れてしまったら…みんながコーラを求めてさまよい歩き、会場には「コーラゾンビ」が大量発生します。

…まあ若干大げさに書きましたが、あながち嘘でもないメキシコ人のコーラへの過剰な愛。(というか中毒状態。)

だって、「年間消費量=1人163リットル」=「1日500mlのペットボトルを1本飲む」ってことですからね!!

でも本当に、彼らの生活を見ていると「実際飲んでるな」と納得できます。

彼らにとっては、いつでもどこでもコーラは必要。「No Cola, No Life」状態です。

⑤先住民の儀式

コーラは、「飲み物」として日常生活で消費されるだけではありません。

なんとメキシコの先住民の儀式においても使われています!

『コーラを聖なる水に変えた人々』という本で詳しく書かれているのですが、メキシコ南部の先住民率が多いチアパス州のサン・フアン・チャムラという村では、「昔からの伝統」と「近代の文化」をうまくハイブリッドさせながら儀式を続ける民族がいます。

彼らは、「カトリックの教会で、土着の信仰(悪魔祓いや生け贄儀式など)を行う」という、ヨーロッパのカトリックの人々が聞いたら卒倒しそうなことをやっているのですが、そこで、「聖なる水」としてコーラが使われているのです。

わたしも、2015年にこの教会を見に行き、その時もコーラは現役で使われていました。(撮影禁止だったので写真はないですが。)

厳かでものものしい雰囲気の中、ポップな印象のコカ・コーラ瓶が鎮座している様子は面白かったです!

メキシコ人じゃなくても、メキシコではコーラが異常に飲みたくなる

この「コーラへの渇望」は、なにもメキシコ人に限ったことではありません。

メキシコに旅行した人(日本人含め!)ならみんなうなずける「メキシコあるある」の一つが、「コーラ消費量が異常に上がる」ということ。

わたしも、メキシコに行くとめっちゃコーラ飲みます。

1日1本は絶対飲む。

もう、コーラなしでは生きていけないレベルです。

といっても、わたしは普段からコーラを飲むタイプではなく、日本では「1年に1回、一口分飲むかどうか」ってくらい。

メキシコに行ったときにだけ、自分の中に過剰にフツフツと抑えきれないほどに湧き上がる「コーラへの渇望」は、完全にナゾです。

最初は、「メキシコの気候のせいかな」と思っていたのですが…。

この間、友達と超本格タコスづくりをしたときに原因がわかった気がしました。

メキシコ料理とコーラ合いすぎ問題

タコスが完成し、みんなで食べ始めたころ…。みんな、「なんか足りないな」と思っていました。

完璧なタコスを作ったはずなのに、「100%満足」ではない…。

そして誰かが「コーラ欲しいわ」とつぶやいた時。その場にいた全員が、「それだ!!!!」と心の中で叫びました。

…でも買いに行くのはめっちゃ面倒。

なので、みんな「美味しいね」「本格的だね」と無難なことを言いながらも、各々がコーラ欲しさを募らせていました。

そして、タコスを食べていた全員のコーラ欲が極限まで高まった結果。

いやもう買いに行かなきゃダメだこれ。

となり、怒涛の勢いでスーパーまで買いに行ってきました。(だれもコーラ好きがいない中での異例のコーラ購入。しかもわざわざ寒い中歩いてまで。)

しかしその甲斐あり、家に帰りタコス&コーラを楽しんだ結果、その場にいた全員が「満足度完全に100%になったわ」と言えるに至ったのです…。

メキシコでコーラを我慢するとか無理

以上の経験から考えられるのは、

コーラがタコス(およびその他のメキシコ料理全般)に合いすぎる結果、コーラへの渇望が生まれるのではないか

ということです…!

メキシコ料理を口にした瞬間から体内に湧き上がってくる「コーラ欲」は非常に抗いがたく、どれだけ屈強な意志と自制力を持ってしても、我慢することは難しい…。

もう、メキシコ料理を食べた時点で、コーラへの抵抗(=健康)は捨てると思った方がいい。「メキシコに行く=コーラにわが身をゆだねる」という覚悟が必要なのです。

しかもメキシコのコーラは「世界一美味しい」らしい

さらにダメ押しですが、なんとメキシコのコーラは「世界一美味しい」んです。

これは結構有名な話で、アメリカには「Mexican Coca Cola」という名前のコーラも逆輸入されています。しかも、普通のコーラよりも高いのに大人気なんです!

これについては、またいつか別の記事で紹介しようと思います。

つづく。