ホセとのクリスマスパーティ後編です。
結局お父さんと叔父さんは来られなくなったらしく、
「どうにかして、じいちゃんたちには、二人がいないことに気付かせずに過ごしてもらおう。」と、突然おじいちゃんへの優しさをかいま見せたホセ。
クリスマスパーティーの日づけ
ディナーの後、ホセと話したり、トイレに行ったり、そのままその辺にいる人と談笑しているうちにいつの間にかお皿が片づけられていました。
今日は、一年で最もたくさんのゲストが来る日なので、メイドさんも多めに雇っているようで、大勢のメイドさんがせっせと忙しそうに働いていました。
ところで、このパーティが開かれたのは、12月16日でした。
「なんでクリスマス当日にパーティしないんだろう?」
と疑問に思っていたのですが、これを見たときに「きっと、クリスマス当日はメイドさんが雇えなくなるからだ!!メイドさんも、クリスマスは家族と過ごすだろうし。」と勝手に確信していました。
あとからホセに聞いてみたら、
「いや、違うよ。今年のクリスマスは家族でカリブ海クルーズに行っている予定だから、先にやっておいたんだ。」と言われました。
(カリブ海クルーズって…)と少し驚きましたが、
ホセファミリーの「ザ・大金持ち」感にも、段々慣れてきました。
ピニャータ割り
暗くなった庭で、「ピニャータ」と呼ばれるメキシコ流の紙製のくすだまが飾りつけられました。
ピニャータ割りは、メキシコの伝統的なクリスマスの行事で、中には大量の飴玉が入っています。ピニャータが叩き割られると、一気に子供たちが集まって飴取り合戦になるわけです。
この行事は子どもが主役のようなので、子供たちがピニャータを木の棒を使って叩く様子を見守っていたのですが、そのあと大人にも順番が回ってきました。
「せっかくメキシコに来たんだから、割れちゃう前に叩いておきなよ!」とホセが言ってくれたので、大人はわたしが最初でした。
(紙製のくす玉だから、大人が叩いたら一気に割れちゃうかな。力抜いて叩こう)
と、割と遠慮して叩いていたのですが、その後交代したホセは超全力で叩いていました。
(↑全力すぎてぶれるホセ)
ちょ、ホセ…!と思いましたが、その後変わった人達も全力だったので、これが普通らしいです。
本当に頑丈なピニャータで、どれだけフルボッコにしてもまったく割れず、なんと2周目も回ってきたので今度は全力でいきました。
誰かが叩いた時に少し破れて、ポロポロと飴が落ちてくる状態だったので、
しびれを切らした大人が2人がかりでピニャータを全力でバリバリ引きちぎり、そこに子供たちがワーーーっと群がって散らばった飴をゲットしていました。
初めてのピニャータ割りは、思っていたよりも全力かつシュールなイベントでした。
ロウソクを持って歌を歌う
そのあと、全員に手もちロウソクが配られ、クリスマスの歌を歌うことになりました。
良く知らない歌でしたが、クリスマスに集まってみんなでこうやって歌うのっていいなあって思いました。
そのまま、流れでどこからか配られた手持ち花火でも遊びました。
そんなこんなでパーティーをエンジョイしていたわけですが、ふと部屋の中で座っているホセのおじいさん・おばあさんの方を見ると、ホセが横にピタッとついて、二人と談笑していました。
きっと、お父さんと叔父さんのことを思い出させないように、しゃべっているのでしょう。
それを見て、またちょっと感動しました。
ところで、今これを書きながら、この「おじいちゃん想い」って要素はほかのすべてのマイナス要素をひっくり返す凄まじい威力を持っているな、と改めて思いました。
賄賂の達人でも、動物密輸でも、とにかくホセは「おじいちゃん想いのいい奴」なのです。
テキーラ飲み放題
「あ、いたいた。はい、コレ。」
ホセの親戚の人から、突然テキーラの入ったショットグラスを渡されました。
え…?と固まっていると、
「ウェルカム トゥー メキシコ!!」と言われ、周りもイェ~イ!と盛り上がりました。(もうすでにみんな出来上がっている感じです。)
え、ええ…なんだこの流れ…。
わたしの中で「テキーラ=罰ゲーム」という感覚だったので、「ウェルカム!」と言われながらテキーラを飲まされるこの状況は完全に謎でした。
とりあえず一杯くらいならいいか、思い切って飲むと、みんなフォ~~~!と盛り上がりました。
「これできみもメキシカン・ファミリーの一員だ!!」と背中を叩かれ、もうみんなめちゃくちゃ嬉しそうでした。
(テキーラ一杯でこんなに喜んでくれるんだ。じゃあとりあえず、頑張って良かった。)と思っていると、
「次はわたしが!」と、ホセの従妹が、ショットグラスにテキーラをなみなみと注いできました。
それをわたしに渡しながら、
「わたしたちは、あなたがわたしたちの家族パーティに来てくれて本当に嬉しいわ。こうやって出会えたこと、感謝しているわ。」
と、なんかイイ感じのことを言われました。
(これで飲まなかったら完全にわたし、空気読めてない奴だ…)と思い、また頑張って飲みました。
飲んですぐ、「ちょっとトイレ…」と、次の注ぎ手が表れる前にとりあえずトイレに逃げました。
トイレから帰って来ると、あちらこちらで同じことが行われていました。
どこのグループを見ても、テキーラのボトルを持っている人がいて、とにかく飲みまくっていました。
ふと見ると、ホセも若者グループの中に混ざってフォ~~~!!となっています。
あれ?おじいさんたちは…と思って見渡すと、おじいさんたちはおじいさんたちで、優雅な様子で静かにテキーラ合戦を繰り広げていました。
(メキシコ人って、本当にみんなテキーラ飲むんだなあ…)
と思いながらも、メキシコのパーティは恐ろしいな…!と思い、わたしは唯一の安全グループである子供たちとたわむれてました。
みんなサルサ踊れる
しばらくして、完全に大人たちが出来上がったころ、おじいさんが巨大スピーカーで音楽を流し始め、みんな踊り始めました。
もうみんな酔ってハッピーなので、ノリノリです。
曲はほとんどがサルサの音楽で、みんなサルサを踊っていました。
この時わたしは初めてサルサを見たのですが、とにかくみんな上手でした。
メキシコ人は、全員サルサが踊れるのでしょうか。
テキーラの時は子どもグループに逃げられましたが、サルサは子供でも踊れるようで、全然踊れないわたしは完全に居場所を失ったのですが、見ていると、いろんな人が手を取ってサルサを教えてくれました。
とても楽しかったのですが、みんな歌いながら踊るのですごく息が酒臭かったです。
踊りつかれたら帰ろう
「踊りつかれたら帰る」という、まるでクラブのようなノリで、段々みんな帰っていきました。
「これって、みんな飲酒運転だよなあ」
と思いましたが、誰も気にしていないようで、わたしたちも、ホセの飲酒運転で帰ることになっていました。
すごく心配でしたが、これ以外に道はないのでシートベルトをしっかりしめて帰りました。
帰る直前、おじいさんとおばあさんに挨拶をすると、「またおいで!」と言ってくれました。
「今度来るときは、もっとテキーラとサルサに慣れたメキシコ人になってないとね。」
と言われ、遠い道のりだなあ、と思いながらも、本当にとても楽しかったので「また絶対に来るね」と言って帰りました。
帰る直前、ホセに「そういえば、おじいさんたちはお父さんとオジさんのこと何か言ってた?」と聞くと、
「いや、何も言ってなかったけど、たぶん気付いてたと思う。」とホセ。
「でも、大丈夫!それにテキーラ飲んだら、もうハッピーだから!」
若干酔っぱらって適当になっている感じのホセでしたが、最後おじいさんとおばあさんへの挨拶だけは欠かしませんでした。
家についてすぐ、みんなそれぞれバタンキュー状態で寝ました。
ホセファミリーのクリスマスパーティーは、メキシコ伝統料理の数々、ピニャータ割り、クリスマスの歌、テキーラ合戦、サルサと、メキシコの要素がとにかくたくさん詰まった、本当に楽しいパーティでした。
次の日のはなし
次の日は、まさかの私以外の家にいる人全員が二日酔いという状態で、それぞれ安静にしている様子でした。
(わたしはテキーラ合戦からは早々に逃げだしたのでセーフでした。)
たしかに、あんなにビール、ワイン、テキーラと混ぜて飲んだらこうなるよな…と思いながら、
これでもかというほど大げさに辛そうにしているホセに「大丈夫?」と声をかけると、
「大丈夫、大丈夫。これもクリスマスパーティーの醍醐味さ。」
という答えが帰ってきました。ポ、ポジティブ!
お昼ごはんにスープを飲んでいたら、ホセは
「あ!いいこと思いついた!二日酔いに効くSUSHIを作ってくれよ!」と言い始めました。
何言ってるんだホセは、と思ったら、「おー!それは良い考えだ!」と家族全員が賛成しはじめました。
スシって二日酔いに効くんだったっけ…と一瞬混乱しましたが、
彼らの中では「ヘルシーな食べ物は二日酔いに最適⇒ヘルシーと言えばSUSHI!」という流れらしいです。
ただ、二日酔いで誰もスーパーまで材料を買いに行けない、ということで、ホセ発案「二日酔いにスシ作戦」はすぐさま頓挫しました。
後日、ホセの友達が来た時に”スシ&焼きめしパーティー”をしたので、次のホセ記事ではその時のことを書こうと思います。
ホセの寿司の食べ方は、かなり衝撃的でした…。
つづく。→『メキシコのアミーゴ⑦ スシ大好きなホセ スーパーで買い物編』