メキシコのグルメ

ポソレは絶対に食べるべし!アステカ時代から続くメキシコの伝統料理

「ポソレ」というメキシコ料理を知っていますか?日本ではあまり知られていませんが、メキシコ人が愛する伝統的な郷土料理です。

この記事では、そんなメキシコで大人気で、歴史ある料理「ポソレ」の魅力を紹介します♪

ポソレとは?

ポソレとは「ひき割りトウモロコシ」という意味の、具だくさんのコーンスープのことです。

しかし「コーンスープ」と一口に言っても、わたしたちの創造するような日本のコーンスープ(コーンポタージュ)とは全く違い、どちらかというと「豚骨スープ」に近いもの。豚骨からしっかりダシをとったスープの中に、お肉(基本的に豚肉や鶏肉)と、大粒のもちもち食感が楽しい真っ白なトウモロコシがたっぷり入ります。

ここに入るトウモロコシはまったく甘みがなく、淡泊な味わいの中に旨みを感じます。

そそスープに、食べる直前に野菜(玉ねぎ、ラディッシュ、アボカド、キャベツ)や香草(オレガノ、唐辛子、コショウ)などをお好みで山盛りにトッピングをして食べるのが、メキシコ流のコーンスープ「ポソレ」なのです!

ポソレはとても手間と時間のかかる料理

ポソレには、昔からある「cacahuacintle(カカワシントレ)」という名前の、特別なトウモロコシを使います。このトウモロコシは、普通のトルティージャなどに使われるトウモロコシよりも大粒で、皮が厚いのが特徴です。トルティージャ用のトウモロコシよりも高価なので、ちょっと昔まではお祭りや特別な日に食べられるご馳走でした。

ポソレを作る手順は、以下の通り。

  1. 皮をふやけさせる
    まず、トウモロコシの皮を柔らかくするために数時間石灰水につけます。
  2. スジを取り除く
    トウモロコシを一粒一粒手でスジを取り除いていきます。この作業がとっても大変で時間がかかるんです。
  3. 煮込む
    石灰水をしっかり洗い流したら、トウモロコシがポップコーンのように「爆発」するまで何時間も煮込みます。スジを取ったことによって、爆発しやすくなります。
  4. 爆発させる
    トウモロコシがしっかり花のように爆発したら、スープに豚肉などのお肉を投入して、さらに煮込んで完成です。

地域によっては、この手順が少し違っていたり、玉ねぎと一緒に煮込むこともあります。

ポソレが食べられるエリア

ポソレはメキシコ人であれば誰もが知っている国民食。ほとんどのエリアで食べることができます。特にポソレが美味しい地域として有名なのは、

  • シナロア
  • ミチョアカン
  • ゲレロ
  • サカテカス
  • ハリスコ
  • モレーロス
  • メキシコシティ周辺

などの、中央高原のエリアです!

特にメキシコシティにはポソレの美味しいお店がたくさんあって、わたしもメキシコシティに行くたびにポソレを食べるのを楽しみにしています^^

上記以外の地域でもポソレを食べることはできますが、ここの地域のものが一番おいしいです。何度かカンクンでも食べましたが、やっぱり少し違う…。高原エリアの方が、旨みを出すのが上手なのかもしれません。

というのも、もともとポソレはメキシコシティ周辺などの「アステカ文明」の時代から食べられていた特別な料理。植民地化によってアステカ帝国が滅んだあとも、イベントやめでたいことがある日などによく食べられたお祝いの料理でもあります。やっぱりもともと作られていたエリアは美味しいものが残っているんですね。

ポソレの種類

ポソレには、大きく分けて白、赤、緑の3種類あります。

1.白いポソレ(ポソレ・ブランコ)

白は、最もオーソドックスで癖のないあっさり豚骨味のポソレです。
緑と赤のポソレのベースにもなります。豚骨の白いスープですが、日本の豚骨スープほどの臭みはありません。

2.緑のポソレ(ポソレ・ベルデ)


Photo by: Slevinr CC BY 3.0

白いポソレをベースに、緑色の濃厚なソースを加えると緑ポソレになります。
ソースの材料は、緑トマト(トマティージョ)、アリタソウ(メキシコのハーブ)、コリアンダー(パクチー)、ハラペーニョ(緑唐辛子)に、カボチャの種などを入れることもあります。パクチーやハーブが入る分、少し癖のある味になります。

3.赤のポソレ(ポソレ・ロホ)

赤のポソレには、チリ(唐辛子)のペーストが入ります。

唐辛子といっても辛いものだけではなく、辛みよりも旨みを含むチリを使うので真っ赤でも辛くないことが多いです。これも、とても食べやすく旨みたっぷりの味わいです。

ポソレのトッピング


Photo by: Thelmadatter CC BY-SA 3.0

基本的にポソレは、大粒の甘くないトウモロコシと豚肉がゴロゴロ入った豚骨風味のスープです。

そのままだと素朴な味ですが、好みでトッピングを足して自分好みのポソレにすることができます。お店によって、最初からキャベツの千切りやラディッシュを薄くカットしたものが乗っていることもあり、それに追加でトッピングを注文します。

おすすめのトッピングは、

  • ワカモレ(もしくはアボカド)
  • チチャロン(豚の皮を揚げたもの)
  • 生玉ねぎのみじん切り

です!

わたしは、さらにこれにトルティーヤを揚げたもの、オレガノを入れたりします。

具だくさんにすると、様々な具材が混ざりあい、よりさまざまな味が楽しめますし、野菜もたくさんとることができます。

特別な料理

メキシコの料理に詳しい人と話していて、「ポソレは、他のメキシコ料理と明らかに違うポイントがあるんだよ。」と言われて、何だろう、と思ったら、

ポソレは唯一、トルティーヤと一緒に食べないメキシコ料理なんだよ。」と言われてとても納得しました!!

メキシコ料理を食べる時は、基本どんな時もトルティーヤが付いてくるのですが(トルティーヤを使った料理にも、トルティーヤが付いてくる笑)、ポソレには付いてこないんです。不思議だ~。

ポソレ自体に特別なトウモロコシが使われていて、特別な料理だから、らしいです。

まとめ

実はビールにもよく合う、ポソレ。メキシコ人が大好きな有名郷土料理です。

わたし的には、いろいろなメキシコ料理を食べてきた中でもトップの美味しさでした!日本人の口にも合うと思います。メキシコシティで友達とごはんに行くときはよくポソレリア(ポソレ専門店のこと)に行きますし、日本人の友人を連れていくと、いつも「とても美味しい」と喜んでくれます。

ただ、日本で食べるのは難しいです。やっぱり材料(特にポソレに使う特別なトウモロコシ)がないので、日本のメキシコ料理屋だと全然見かけなかったり、あってもなんだか味が違ったり…。

メキシコのポソレは本当に絶品なので、メキシコに来る機会があったらぜひ食べてみてください!!

 

そしてポソレには、実はあるビックリするような歴史が隠されています…。

下記の記事タイトルでネタバレしてしまっていますが、実はアステカの頃食べられていたポソレは、豚肉ではなくだったんだとか…。

→『生贄をスープに…?怖いけど知りたい、アステカの生贄と食人文化

これは都市伝説でもなんでもなく、歴史的な事実なのです。が、あたりまえですがもう今はポソレに人肉は使われていませんよ!植民地化されてすぐに、スペイン人に生贄の儀式と共に禁止されました。

今では、メキシコ人に愛される美味しい郷土料理です^^