今回は、あるデータからメキシコについて紐解いていこうと思います。
もくじ
メキシコ人は、世界一自分の容姿に自信のある国民!
2015年、「GfK(Growth from Knowledge)」というドイツの調査研究機関がある調査を行いました。
それは、22か国を対象に、15歳以上の男女27,000人以上に「彼らが自分自身についてどう思っているか」、ということを聞くものでした。
その調査にによると、「自分の容姿に対して満足していますか?」という質問に対して、最もポジティブな結果を得られた国は、なんとメキシコでした!
メキシコは、「fairly satisfied(比較的満足)」、「completely satisfied(非常に満足)」を選んだ人の割合が、74%という結果だったのです。
そのあとは、
- 2位:トルコ(71%)
- 3位:ウクライナ、ブラジル(65%)
- 4位:スペイン(64%)
- 5位:ドイツ、アルゼンチン(62%)
- 6位:アメリカ合衆国(60%)
…と続いていきます。
これは、意外な結果でした。
なぜなら、自分を着飾る手段の選択肢が多い「先進国の人々」の方が、もしくは、世界中の広告を「美のお手本」として飾りつける「白人」の方が自分たちの容姿に自信があるのではないか、という予想が裏切られる結果だったからです。
この調査結果は、多くの国で話題になりました。
最下位(最も自己評価が低い国)は、日本
そしてなんと、上の表を見るとわかる通り、この調査の最下位<22位>は日本だったのです。
日本は、「fairly satisfied(比較的満足)」、「completely satisfied(非常に満足)」を選んだ人の割合はたったの26%でした。メキシコの約1/3ですね。
さらに、「not at all satisfied(全く満足でない)」、 「not too satisfied(比較的満足でない)」を選んだ割合は、38%にまで登りました。
ちなみに2番目に自己評価が低い国はイギリス、ロシア、韓国だったのですが、それらの国々の「not at all satisfied(全く満足でない)」「not too satisfied(比較的満足でない)」を選んだ割合は約20%だったので、日本の1/2です。
日本は、2位を大きく引き離して、ダントツで容姿の自己評価が低い国だったのです。
この調査結果は、一応「容姿」に限っての調査なのですが、実際の「自己評価」とも大いに関係していると思います。
自分の容姿の満足度が高いメキシコ
さて、以上の調査結果から、「メキシコという国では、自分の顔が好きな人が多数派(=一般的)である」ということが判明しました。
日本の3倍もの割合の人々が、「自分はイケている」と思っているのです。
何より、「74%」という数字はスゴイです。堂々たる多数派です。
「自分の容姿が不満な状態」が普通の日本と、「自分の容姿に満足の状態」が普通のメキシコ
日本の場合「自分の顔が好きな人ってちょっと変わってるよね」
自分の顔が大好きな人なんて周りにはあまりいないですよね。居たとしても、その人は自分がそう思っていることを隠すと思います。
なぜなら、それは日本では「普通(一般的)ではない考え方」だからです。
確かに、感覚として「自分の顔めっちゃ好き」という人は「異端者」として捉えられがちです。
でもそれは、日本の「自分の容姿に関する評価の割合」が偏っているからなのではないでしょうか。
日本であれば「自分の容姿に満足していない人」の方が多数派だから、「自分の容姿に満足していないのが普通」なのです。
「多数派の意見」は「一般的な意見」として捉えられ、一般的な意見はつまり「普通の意見」になります。
逆に「少数派の意見」は「異端者の意見」として捉えられ、異端者の意見は「変わった(変な)意見」になります。
日本は、元々外見における自己評価が低いという前提の上で、「自分の顔が好きな人ってちょっと変わってるよね」という感覚や価値観ができたのではないでしょうか。
メキシコの場合「普通、自分顔好きだよね」
しかし、メキシコの場合、「満足している人」の方が圧倒的に多数派なわけだから、
「普通、自分顔好きだよね」という感覚になります。
自分の顔が大好きな人なんて周りにたくさんいるし、その人たちは自分がそう思っていることを隠そうともしないです。
外見への謙遜も比較的少なくなります。なぜなら、みんな、自分が自分の容姿が好きだってことはわかっている、つまり「暗黙の了解」だから、そこをわざわざ否定する意味がないからです。
メキシコでは、日本とは逆に、「自分が容姿に自信がない」という人の方が異端者になります。
「あ~自分ブサイク」などとSNSでつぶやいた日には、「え?この人大丈夫?悲観的過ぎない?」と本気で心配されるんじゃないかと思います。
確かに!と思う瞬間
「なぜ、メキシコの友達は自撮り大好きな人が多いのか?」という謎も解けました。
メキシコ人のSNSは、年生性別問わず「キメた自撮りが流れてくる率」が日本よりも遥かに高いです。
しかし、メキシコは「基本的にみんな自分の顔が好きな国」なので、こういう投稿は普通なのです。
ただ、下手すると、10枚くらい連続で同じ人の自撮りです。
たまにめっちゃブレたやつとか混ざってます。
「最高傑作を吟味してから載せなよ!」と思います。
こういうのは、「見て!褒めて!」という承認欲求による行動というよりも、純粋に「かわいく撮れたからみんなにも見せてあげなきゃ」って感じなんだそう。
自分の容姿に自信を持てるかどうかは、「かわいいか・かわいくないか」ではなく、「かわいいと自分で思うか・思わないか」なんだなあ、とメキシコの友達を見ているとしみじみ思います。
容姿がいいか悪いかは完全に主観なので、可愛いと自分で思えた方が幸せですよね。
むしろ、自分自身はあえて頑なに写さず、
- 「友達とごはんに行ったよ」⇒写真はごはんのみ
- 旅行先の景色(のみ)
- 服のコーディネート(首から下)
といった、日本では普通に見られるようなSNSの投稿は、メキシコでは奇怪なものに映っている可能性もあります。
この調査からわかるメキシコ人の気質
専門家の分析によると、この調査結果が示すものとは以下の通りらしいです。
外見に対する満足度は、その国の社会心理を示しており、満足度が高ければ高いほど楽観的である
だろうね!と思いました。
メキシコの、もう一つの世界No.1
実はメキシコは、2013年のWHO(世界保健機関)による調査によると、アメリカを抜き世界一の肥満大国になりました。
その前の2010年の時点で、「10人中7人が肥満」という大変な結果も出ています。
「世界一の肥満大国」なのに、「世界一自分の容姿に自信のある国」だなんて、なんだかギャップが凄いですね。
わたしは、今まで「メキシコが肥満大国なのはトルティーヤ(メキシコの主食)のせいだ」と思っていました。
「トルティーヤ1枚でごはん1杯分のカロリーがある」、と聞いたことがあるからです。
トルティーヤにもいろんなサイズがあるので一概には言えないと思うのですが、もしそれが「普通のタコス屋台サイズ(直径10㎝くらい)」の場合なのであれば、わたしは1日に15杯くらいごはんを食べていることになります。
しかし、トルティーヤは古代メキシコ文明時代からずっと食べられているのに対して、メキシコの肥満率が問題になってきたのはここ数十年の話です。
本当の原因は、タコスと一緒によく飲まれるコーラなどの砂糖飲料なのです。あとは、油や塩分過多なのも原因に挙げられているそうです。
このような食生活は、メキシコを肥満大国にした「主な原因」です。
…ただ、メキシコ人の「楽観的な気質」がそれを助長しているような気もします。
- ちょっと太る
- 「ちょっと太ったけど、こんな私もオッケー!」
- さらに太る
- 「それでもオッケー!」
と楽天的であり続けた結果、メキシコで肥満が量産されているのでは?と思いました。
あとは、タコスにコーラって異常なほど合うんですよね。
わたしもコーラは好きなわけではなく日本でもめったに飲まないのですが、なぜかメキシコに行った時にはタコスとともに大量摂取してしまいます。もう「コーラはタコスのために作られたのでは?」と思うほどの合いっぷりです。
これは、解決方法がまったく思いつきません。
鋼のような自制心をもって挑まないと、炭酸砂糖飲料を飲まないようにするのは不可能な気がします。
特に楽天的なメキシコ人は、
「まあ、これくらい大丈夫さ!」
となる気しかしません。
「楽天的」=「改善の必要性を感じない」と捉えると、実は楽天的すぎるのは考えものなのかもしれません…。肥満は健康に良くないですしね。
最後に:メキシコは極端で面白い
「メキシコは世界一自分の容姿に自信のある国なんです」って聞くと、「前向きでイイね!」となりますが、
「世界一の肥満大国」であり「世界一自分の容姿に自信のある国」という2つの事実を知ると、「甘えるな!痩せろ!」となります。(笑)
メキシコはいろいろと極端な部分が多く、実際に人と接してもデータから見てもとても面白い国だなあ、と改めて感じました。
参考サイト
- GfK Satisfaction with looks(2017年6月20日閲覧)