コラム

メキシコの警察にワイロを求められた時の話。

メキシコにいると、警察にワイロをたかられることがあります。

特にメキシコ北部、カンクン周辺(特にレンタカー利用時)に、「たかり警察」は出没します。

経験から、学んだことについて紹介します。

メキシコ警察は怖い?

わたしが初めてメキシコに行った時、メキシコ人の友達ホセ(仮)に、

「いいか、困ったことがあっても、警察だけには頼るな。警察以外の、そのへんの人に聞け。わかったか、とにかく警察だけはダメだからな。金をむしり取られるぞ!!」

と、強く言い聞かせられていました。

「地元民のホセが言うなら…」ということで、道に迷っても、意地でも警察の世話にはなりませんでした。

しかしある日、メキシコシティで散歩中に迷い、警察の真横にいたおじいちゃんに道を聞いたところ、わたしのスペイン語があまりに下手なのでおじいちゃんが面倒くさくなったらしく、そこにいた警察に押し付けられてしまいました。

(おわった…これでワイロ貧乏だ)

と思っていると、彼ら警察は私のたどたどしいスペイン語に我慢強く耳を傾け、親切に道を教えてくれたばかりか、一銭も要求してきませんでした。

「こんなに優しい警察がいるんだ…!」

わたしは感動しました。

警察への期待ハードルがかなり低くなっていたので、普通に親切にしてもらうだけでとてもありがたく感じました。

その後も、おそるおそる警察に道をきくたび、彼らは親切に無料で道を教えてくれました。

わたしの中で、だんだんとメキシコ警察に対する信頼が確固たるものになっていきました。

「ホセは大げさだなあ」と思いました。(ホセはいつも大げさでした。)

ついにたかり警察に出会う

そんなある日、わたしはメキシコの北部に旅に出ます。

一緒のバスで移動していた日本人と、和気あいあい話しながら移動していると、途中でバスが止められ検問のようなものが始まりました。

そこで、なぜかその人が、2冊(その人とわたしの)のパスポートと共に連れていかれました。

しかも10分経っても戻ってきません。

その人とパスポートを心配しながら待っていると、憔悴した顔で帰ってきました。

とりあえず無事だったことにホっとし、何があったのかを聞くと、「ワイロを払わされた」とのこと。

詳しく聞くと、

「メキシコシティの宿に、なくすといけないと思って出国審査紙を置いてきたんだけど、それがないから一緒に国境に行こうって言われて。ムリだって言ったら、『絶対に行かなければいけない。お前は大切な紙を持っていないんだから。一緒に国境に行くか、…それとも今すぐ2,000ペソを払うか。』って。」

…なんてわかりやすいワイロの要求なんだ。

出国審査紙もべつに常に持ち歩く必要はないのに、これは完全に言いがかりです。

結局その人はワイロを払わされ、国境に一緒に行かずに済みました。

しかし、その人は、なんと要求された2,000ペソ(当時約16,000円)でなく、500ペソ(約4,000円)で許してもらったとのこと。

なんでそんなに安く済んだの?と聞くと、こんなことを話してくれました。

まず、警察に2,000ペソの内訳を聞いたところ、「パスポート1冊1,000ペソで、ここに2冊あるから2000ペソだ」と言ったらしく、なぜか問題のないはずのわたしのパスポート分も要求されていたので、そこの矛盾を指摘したところ、半額の1,000ペソに。

その後、その人はなんとさらに「学割を使って半額の500ペソにしてもらった。」とのこと。

バスが動きはじめてからもしばらく落ち込んでいる様子でしたが、75%もの値切りを成し遂げたことについては、素直に「この人やるな…」と思いました。

あと、ホセを「大げさ」呼ばわりしたことを心の中で謝りました。

ワイロ要求経験から学んだこと3つ

1.「たかり警察」もやっぱりいる。パスポートに注意。

基本的には親切な警察が多いけど、やっぱりワイロをたかってくる警察もたまにいるということを身をもって知りました。

ちなみに、その後も何度か同じような事件があったり、人の話を聞いたりしましたが、メキシコ北部での被害が多かったです。

メキシコ北部の警察には、言いがかりを付けられないように注意!です。

言いがかりは、とにかくパスポート関係についてが多いです。

「パスポートを持っていない」のはもちろん、さっきの例のように「出国証明書がない」なども、彼らの常套の言いがかり。

「パスポートは宿に置いてきた。コピーがある」と言ってもムダで、とにかくすぐに国境に連れていこうとします。

なので、特に北部をバスなどで移動する際には、パスポートをちゃんと持ち歩くようにしましょう!

また、カンクン周辺でのレンタカー利用時にもよくたかられます。

シートベルトは後部座席も締め、制限スピードは完璧に守りましょう。

2.ワイロは払わなくてもいい場合もある

たとえば、さっきの例で、問題のないわたしのパスポートの分もなぜか要求されていたように、「払わなくてもいい分」があるかもしれません。

話し合えるようだったら、請求金額の内訳を聞いてみるのも手です。

(ケータイの電卓でもok)

完全に向こうの「嘘の言いがかり」の場合(レンタカーで制限速度を守っていたのにスピードオーバーと言われた、など)は、無実をきちんと主張したところ、結局払わなくて済んだという人の話も何度か聞きました。

また、特にメキシコ北部の長距離バスに登場するたかり警察は、学割とかできるかもしれません。空気を読んだうえでダメ元提案してみましょう。

カンクン周辺では、あまり大幅な値切りはできなさそうです。

警察側も、「金を持っている観光客」だと思っているので、遠慮がないです。

4.外国人男性はとくに目を付けられる

あとから、忠告してくれたホセに、北部でのワイロ被害についてを話したら、「外国人は特に標的になりやすいし、すぐ言いがかりを付けられる。メキシコの警察は腐ってる!!」と嘆いていました。

なので、外見的に明らかに外国人のわたしたちは、特に気をつけなければなりません。

また、話を聞いた感じ、男性の方がワイロを請求される率が高いです。

男性の中でも、「いかにも」な感じのヒッピー風や、怪し気な見た目の場合は、特に念入りにチェックされるし、言いがかりも適当です。

さわやかな見た目を心がければ、マシになるかもしれません。

まとめ

たかり警察は最悪ですが、やっぱり居るのは仕方ないので、もし出会ってしまったらなんとか善処しましょう。

あと「ホセ」についてですが、過去に本気の車スピード違反で5,6回捕まっており、毎回巨額のワイロで解決している濃い経歴の持ち主です。

警察に対して個人的な(逆)恨みがある可能性もあるので、メキシコ人がみんな同じように警察に不信感を抱いているわけではないです!とりあえず。

こんな紹介の仕方になってしまいましたが、メキシコには親切で優しい警察もたくさんいました。

メキシコシティは特に、警察がそこら中にいるおかげで街の治安が守られています。

警察の存在に感謝しながらも、同時に気を付けてメキシコを楽しみましょう!

 

…さいごに、このあいだふと、「『国境に一緒にいこう』の脅し常套文句にノってみたらどうなるんだろう」と思いました。

「自分もいまちょうど国境に行きたかったんだよねー!」的な。

本当に連れていかれるのでしょうか…。謎です。