メキシコを代表する建築家といえば、「ルイス・バラガン(Luis Barragán)」。
カラフルなのに洗練された彼の独特な建築は、30年ほど前に亡くなったああとでも世界中の建築家やアーティストを魅了し続け、新しいインスピレーションを与えています。
もくじ
メキシコを代表する建築家「ルイス・バラガン」とは
ルイス・バラガンは、メキシコ出身の世界的に有名な建築家です。
メキシコのグアダラハラの地主の家で生まれ、若い頃に独学で建築を勉強。その後海外を放浪しながら見聞を広め、ランドスケープ・アーキテクチャーや地中海文化に強く影響を受けたあと、ヨーロッパ(主にフランス)で建築を学びました。
メキシコに帰ってきてからはメキシコシティを中心に実験的な建築に取り組みます。彼の建築の特徴は、以下のように語られます。
メキシコらしいカラフルな壁色を活かしつつも、シュールで現代的なモダニズム建築を作ったことで知られています。
白を基調とする簡素で幾何学的なモダニズム建築であるが、メキシコ独自の、たとえば民家によく見られるピンク・黄色・紫・赤などのカラフルな色彩で壁を一面に塗るなどの要素を取り入れ、国際主義的なモダニズムと地方主義との調和をとった。
また「屋内」だけでなく、若い頃影響を受けた「ランドスケープ・アーキテクチャー」の影響から、メキシコ荒地で採取した「溶岩」を建築に使ったり、メキシコ原産の植物を使った庭園を作ったりと、「庭」にも強いこだわりを持っていました。(家の中に太陽光をふんだんに取り込んだ屋内プールを作ることもありました)
実際、バラガン建築の美しさは、「庭」なしでは語ることができません。
プリツカー賞をとった、メキシコで唯一の建築家
彼は、1980年にメキシコ人建築家で初めての「プリツカー賞」を授与しています。
賞を受けたのは、1957に作られた「Torres de Satélite(トレス・デ・サテライト)」。
Photo by: ProtoplasmaKid(CC BY-SA 4.0)
街の中にそびえ立つカラフルな柱がユニークです。
プリツカー賞とは、アメリカの「ハイアットホテルアンドリゾーツ」のオーナーであるプリツカー一族が運営する財団が建築家に送る賞で「建築界のノーベル賞」とも呼ばれている名誉ある賞のこと。
日本人では、これまでに丹下健三氏、安藤忠雄氏、伊東豊雄氏など合計7名が受賞していますが、メキシコでこの賞を受賞したのは現時点でバラガンのみです。
「国籍・人種・思想・信条を問わず、原則として1年に1人表彰するため、1979年に始まって以降、まだ40人程度しかこのプリツカー賞をとった建築家はいないんです。
多くの建築家にとって、この賞を取ることは大きな「夢」なのです。
バラガン建物は「メキシコでしか見られない」
バラガンは、生涯メキシコと「メキシコの太陽」を愛し「メキシコにしか自分の建築は作らない」というこだわりを持っていました。
彼の作る建物は、すべて「太陽光」がエッセンスとして使われるので、メキシコの太陽は彼の建築の仕上げの「絶対必要条件」だったんですね。
つまり、バラガン建築が見られるのはメキシコだけなんです!!
クエリエイティブな職業をしている人の中には、「バラガン建築を見に来るためだけにメキシコにきた」という人が、現在もあとを絶ちません。
建築に興味がある人もない人も、ぜひ一度訪れてみて!
建築に興味のある人以外はあまり知らない「バラガン建築」ですが、建築に興味がない人でもぜひ一度は行ってほしい!
「そこにいるだけで幸せな気持ちが満ちてくる」ような空間で、建築の可能性に感動する必見スポットです。
メキシコシティで見るべきバラガン建築は2箇所
メキシコシティ内に、観光地として有名なバラガン建築が2箇所あります。(もっとあるのですが、必見はこの2つ)
- ルイス・バラガン邸ーCasa Luis Barragán
- ヒラルディ邸ーCasa Gilardi
今回は、この2か所について紹介します。
1. ルイス・バラガン邸
一番人気の「ルイスバラガン邸」は、バラガン自身が40年間もの人生を過ごしたスタジオ兼自宅。
2004年には「ルイス・バラガン邸とアトリエ(Luis Barragán House and Studio)」としてユネスコ(UNESCO)の世界文化遺産にも登録されています。
リビングルーム、中庭、階段などすべてがとても個性的なデザインで、巨匠バラガンのこだわりがうかがえます。
大胆な色使いと、光の活かし方が見られ、現在もここを訪れて彼の作品にインスピレーションを受けるアーティストや建築家は多いです。
ルイス・バラガン邸の基本情報
営業時間 | 月~金:10:30~16:00 土:10:30~12:00 日:定休日 |
---|---|
入場料 | 300ペソ |
写真撮影代 | 350ペソ(現地で現金払い) |
予約 | 必ず必要 |
場所 | メキシコシティ |
詳しい予約方法と行き方については、こちらの記事(↓)で詳しく紹介してます。
ヒラルディ邸
バラガンの最後の作品「ヒラルディ邸」は、ヒラルディ氏のためにデザインした邸宅で、バラガンの代表作であり、最後の傑作ともいわれています。
ピンク色の壁が印象的な玄関で、木製の巨大な扉をくぐると、
- 太陽の光でイエローに輝く廊下
- 青と赤の壁が美しい屋内プール
- カラフルな壁がブーゲンビリアの花とよく合う中庭
など、思わずため息が漏れるような美しい空間がいっぱい。
毎秒変わりゆく太陽の光の角度や、メキシコの太陽光の強さと配色のバランスが、完璧に計算されつくしたバラガンの傑作。「建築はまさにアートだ」と納得させられます。
こちらは、ルイスバラガン邸よりも予約がとりやすいのですが、個人的にはヒラルディ邸の方がおすすめです!本当に感動します✨
ヒラルディ邸の基本情報
営業時間 | 毎日:9:00~17:00 |
---|---|
入場料 | 200ペソ |
写真撮影代 | 350ペソ(現地で現金払い) |
予約 | 必ず必要 |
場所 | メキシコシティ |
予約方法については、こちらの記事で詳しく紹介してます。(↓)
行き方はこちら。(↓)
便利な「バラガン建築満喫ツアー」もある
もし「バラガン建築をがっつり見たい!」のであれば、ツアーに参加するのがおすすめ。
上記の2つ以外の、合計8か所のバラガン建築を1日かけて巡ってくれます。
- バラガン邸
- ヒラルディ邸
- サテライトタワー
- ベベデロ噴水
- トラルパン礼拝堂(またはロペス邸)
- サン・クリストバルの厩舎
- バラガン像
- ロス・アマンテス噴水
バラガン建築はメキシコでしか見られません。
建築好きの人は、せっかくメキシコシティまで来たならぜひチェックしてみてください。
⇒バラガン建築8か所を巡る1日ツアー(催行日:火、水、木、金)