メキシコの革・繊維・紙

メキシコの籠編み技術はすごい!美しいメキシカン・バスケットの世界

今回は、メキシコの籠編みの伝統工芸について紹介したいと思います。

メキシコには、とても美しい籠編みを作る場所がたくさんあります。

大きい国なので、地域によって編み方もデザインも様々。

それではまず、数ある手編みバスケットの中でも特に美しいものを3種類紹介します。

メキシコで最も美しい籠(カゴ)3選

1.Corita basket

メキシコ北部・ソノラ州に住む「セリ族」が、ひとつひとつ手作業で生み出す「Corita Basket(コリタ・バスケット)」は、何といってもその細かい造りと美しい見た目が特徴的な、メキシコを代表する籠(カゴ)です。

このバスケットは、現地ソノラ州の砂漠に生える植物の繊維を束ねて作られています。

まず繊維をコイル状に巻き、それを編んでいくので、立体感のある細かいボーダー柄になります。天然着色料で染められた繊維を巻いて、模様を描いたものもあります。

目は極限まで細かく、クオリティーの高いものはなんと水も運べるほど。サイズは、造り的に大きめのものがほとんどです。

世界有数の、とっても美しいバスケットです!

このコリタ・バスケットについては、こちらの記事セリ族が作る、メキシコで最も美しい籠「コリタ・バスケット」の魅力で詳しく紹介しています。

2.Toluca basket

Toluca basket(トルーカ・バスケット)は、その名の通り「トルーカ」という場所で生産される、ヤシの葉で作ったバスケットです。

このバスケットの特徴は、そのカラフルな色使い!様々な色に染められたヤシの繊維が、編み手の色彩とデザインのセンスに沿って編まれていきます。

コリタ・バスケットと同じコイル巻きの技術が使われていますが、トルーカ・バスケットはあえて隙間を多くして通気性が良く軽い作りになっています。

ひとつあるだけでパッと部屋が華やかになるような、メキシコの魅力が詰まったバスケットです。

3.Oaxacan basket

「Oaxacan basket(オアハカ・バスケット)」は、先住民が最も多く住むオアハカ州で、古代メキシコ時代からサポテコ族の人々によって作られている伝統的な籠です。

オアハカ・バスケットは他の多くのメキシカン・バスケットと違い平べったい作りで、ヤシの葉を乾かし、さらにキューティクルをはがしたものを使用しています。

着色した繊維を編みこみ幾何学模様などの模様を付けることもあります。

オアハカ・バスケットはかさばらず、とても軽いので、お土産品としても人気のあるバスケットです。さらに、上にトウモロコシの葉の装飾で飾り付けることもあります。

メキシコの籠(カゴ)編みの歴史とストーリー

メキシコの籠作りは、古代メキシコの時代まで遡ります。

スペイン人が植民地化のためにアメリカ大陸に到着した時には、もうすでに全国各地で様々な種類のバスケット作りが行われていたといいます。

しかし、19世紀よりも前に作られたカゴはほとんど残っていません。

プラスチックやビニールが入って来る前の籠は、すべて植物性でした。なので、捨てられたもの・埋葬されたものは、見つかった時にはすでに土に帰ってしまっているのです。

しかし、500年ほど昔に描かれた古文書に、バスケットがアステカ人の日常生活で使われていた様子が描かれていることから、昔からバスケットが使われていることがわかります。

(↑ フロレンティン古文書に描かれている、先住民がバスケットを使っている様子)

その後、スペインに植民地化されてからもともとのバスケット作りの技術と、スペインから渡ってきた技術が混ざり、新しいバスケット作りの技術ができました。

取っ手のついたタイプのバスケットや、パナマ帽子がその代表です。

現在見られるバスケットの中には、そのように先住民とスペインの技術が混ざりあったものも多くあります。

現在の籠(カゴ)の使い道

現在でも、メキシコ各地で手編みのかごが使われています。

では、どのように使われているのでしょうか?

メキシコのカゴ専門店を覗いてみると、本当にたくさんの種類のかご製品が並んでいます。

  • 持ち運ぶ用のバスケット
  • 麦わら帽子
  • バスケット素材の家具
  • 動物型などの装飾品

など、多種多様です。

昔のバスケットの主な使い道は「モノを運ぶため」だったのですが、運ぶことを役割としたバスケットは、1970年代から世界中から入ってきたビニール袋やプラスチックのバケツに取って変わられました。

それからは、バスケット製品の多くは「バスケット素材の家具」や、「装飾品」の生産にシフトしています。

メキシコで作られる籠(カゴ)の種類

1.植物で作られる伝統的な籠(カゴ)

最近は職人が少なくなっていますが、植物で作られる籠は最も伝統的なメキシコが誇る工芸品です。

特によく使われる素材は、ヤシの葉製のもの。また他にも、植物のツル、柔軟性のある木の枝など、地域ごとに多種多様な植物が使われます。

現在は、80種類の植物がかご作りに使われています。

2.プラスチックやビニールで作られる新しい籠(カゴ)

最近は、プラスチックやビニールなどの「新しい素材」で作られる籠も多くなりました。

プラスチックやビニール製のものを「伝統的なものではない」として好まない人もいますが、これらの素材にもメリットはたくさんあります。

まず、汚れにくさ、壊れにくさ、軽さなどの点おいて、植物の繊維で作るものよりも優れています。

より実用的なので、オアハカのティアンギス(青空市場)で、現役で先住民に使用されています。

昔から受け継がれた「色の美的感覚」はそのままに、カラフルなプラスチック紐で編んだ「メルカド・バッグ」は、国内外で大人気の民芸品です。

籠(カゴ)を作るメキシコの職人たち

カゴ作りは、地域によって作り方もかなり異なりますが、どこの地域でも女性が作る場合が多いです。

また、「カゴ専門の職人」というよりも、主婦や他の仕事をしている人が、空き時間で作ることが多いです。

しかし、「職人」と呼んで差し支えないほど正確に、早く作ることができます。

カゴは、簡単なものであれば数時間でひとつ作ることができるのですが、作るところを見ていると手がすごい勢いで動いていて、信じられないようなスピードで編み上がっていきます!

市場などで売っている人は、だいたい売りながらバスケットを編んでいるので、興味のある人は作る様子を見ていると面白いですよ。