メキシコの手仕事

砂漠の「鉄の木」で作る、つややかな海の生き物の木彫り

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メキシコ北部の「ソノラ州」では、美しい海の生き物の木彫りが作られています。

セリ族とは

セリ族は、ソノラ州に住む先住民族です。

ソノラ州の広大な敷地(およそ211,000ha)が、彼らの保護区とされています。

海の近くに住むセリ族の人々は、釣りによって生計を立てている人も多く、長い海との関わりの中から「海の生き物の木彫り」は生まれたのかもしれません。

使われている木材


(Photo: Public Domain)

この木彫りに使われるのは、「palo fierro(パロ・フィエロ)」と呼ばれる、ソノラ州の砂漠に生える木です。

セリ族の人々は、砂漠に生える木で海の生物の木彫りを作っているのです。

作品の素材とモチーフのイメージ差がここまで大きい民芸品は、メキシコ全体を見ても珍しく、彼らの住むエリアの自然の多様性を物語っています。

palo fierroについて

palo fierroは、「デザート・アイアン・ウッド」とも呼ばれています。

直訳すると、「砂漠の鉄の木」。

その名の通り鉄のように硬いので、加工がとても難しく、木彫りには高度な技術が必要になります。

また、palo fierroは育つスピードが遅いので木の密度がとても高く、内部に空気がほとんど入っていないので、なんと水に沈みます!

普通の木材よりも重く、また木目がとても細かく美しいのが特徴です。

木彫りができるまで

palo fierroの彫刻は、このように作られます。

  1. のこぎりを使って、木材を作りたい作品の大きさにカットします。
  2. 鉄製の斧(おの)を使って、作品の大まかな形を作っていきます。この作業には、かなりの力と、斧を正確にコントロールする技術が必要です。
  3. 水に濡らした粗めのヤスリで、斧でできた傷や粗い部分を削ります。
  4. 粗いヤスリで削りながら、作品の細かい部分を完成させます。
  5. 紙ヤスリに切り替え、表面を滑らかにします。
  6. 最後に、全体に油を薄くぬって、「フランネル」という柔らかい布でしっかり磨きます。ここでも、かなり強い力が必要です。この磨く作業は、作品に美しい木目とツヤが現れるまで何度も繰り返します。

工程から生まれた木彫りの美しさ

palo fierroの木彫りの工程では、最初から最後まで、強い力とそれをコントロールする高い技術が必要です。

最後の工程では、強い力で激しく磨くことによって作品にツヤと美しい木目が表れます。

このツヤと細かい木目の流れるような模様は、木彫りを、まるでついさっき海からやってきたかのような、滑らかな質感の躍動感ある海の生き物に仕上げます。

ソノラの木彫りの歴史

この工芸品が生まれたのは、1963年~1964年の間といわれています。

実は、たった50年ほど前にできた、比較的新しい工芸品なのです。

Jose Astorgaという人物が作り始めたのをきっかけに、多くのセリ族の人々が作るようになりました。

最近になって、セリ族ではない職人も現れるようになりました。また、海の生き物以外も作られるようになり、より多様な木彫りが作られています。

 

現在、palo fierroの木彫りは、セリ族とソノラ州を代表するアルテサニア(工芸品、民族アート)として、多くの人に愛されています。