ルチャ・リブレは、メキシコを代表する格闘技。
最近では、メキシコだけでなく世界中にファンがいて、ライブ配信で全世界に試合が届けられています。
それでもやっぱり、メキシコで観るルチャ・リブレは格別!!
観客ひとりひとりが、声を枯らすほど熱心にルチャドール(レスラー)たちを応援している姿を見ていると、「メキシコに来た〜〜!!」と感じられます✨
さて。
そんなメキシコのプロレス「ルチャ・リブレ(Lucha Libre)」は、なぜ、ここまで熱狂的にメキシコの庶民に愛されているのでしょうか?
もくじ
メキシコの「ルチャ・リブレ」の歴史
メキシコのルチャ・リブレの歴史を振り返ってみると、
「なぜメキシコ人が、こんなにもルチャ・リブレを愛するのか?」
という疑問が紐解けてきます。
1. ルチャ・リブレの始まりは150年前
メキシコのプロレスの歴史は、今から150年ほど昔の1863年に始まったと言われています。
ルチャ・リブレの最初のレスラーは、ベラクルス州生まれのエンリケ・ウガルテチェア(Enrique Ugartechea)氏。
彼こそが、ルチャ・リブレの創始者。
彼は、一般的なフレンチ・レスリングをアレンジして、メキシコ流のルチャ・リブレを生み出しました。
ルチャ・リブレが誕生してからは、庶民の間でひっそりと楽しまれていました。
2. ルチャ・リブレは、庶民の娯楽として定着!
ルチャ・リブレが始まってから60年後。
一気に都市化が進む1920年代、ルチャ・リブレはメキシコシティに暮らしていたチランゴ(庶民)たちの、娯楽として細々と楽しまれていました。
そんな中、ヨーロッパから興行にきていたレスラーの影響で、メキシコでもプロレスが大流行!!
細々と続けられていたルチャ・リブレも日の目を見るようになり、1933年には、初のルチャ・リブレ団体「CMLL」も設立され、よりたくさんの人がレスラーとして活躍するようになったのです。(CMLLは現在も最大手の団体!)
「正義=庶民(先住民)」 vs 「悪=特権階級やグリンゴ(白人の蔑称)(入植者たち)」
というわかりやすい構図で、「正義=庶民が必ず勝つ」ルチャ・リブレは、根強い階級社会のメキシコで「弱い立場」として辛い思いをしていたチランゴにとって「現実逃避的な憂さ晴らし」の場でした。
なので当時、中流階級や特権階級のメキシコ人は「あれは下品なショーで、野蛮で教養のないの庶民の観るもの。」と敬遠していました。
3. 当時のメキシコには、「ヒーロー」が必要だった
当時の伝説的なルチャドール(レスラー)といえば、現在もメキシコの国民的な英雄としてしられるエル・サント(El Santo=“聖人”)でした。
彼はレスラーとしてだけでなく「俳優」としても活躍し、50本以上の映画に出演!「力のある者に屈しず、メキシコの庶民や弱いものの絶対的な味方」という役割で大人気になりました。
メキシコで苦しい暮らしをしている庶民にとっては、彼のような存在こそが本当に必要な存在、「ヒーロー」だったのでしょう。
4. みんな、「メキシコ人=ヒーロー」を応援する!
時を経て、ナショナリズムの流れの中で、国民が「大衆的なもの、ハイブリッドな存在こそが、我らメキシコの象徴するものだ」という意識を共有するようになると、ルチャ・リブレは幅広い層から人気を集めるようになりました。
最近は、「人々のアイデンティティー」も大きく変化しています。自分たちは、「先住民」でも「ヨーロッパ人」でもなく「メキシコ人」というアイデンティティーを持つ者。
メキシコ人たちは、「正義の善玉レスラー」に自分たち自身を投影しながら、熱心な声援を送っているのかもしれません。
そう考えると、ルチャ・リブレは「ただのスポーツ」ではなく、彼らの歴史やアイデンティティーにも繋がるものなのかもしれませんね!
実際にメキシコシティのルチャ・リブレを見に行きたい!という人は、ぜひこちらの記事を見てみてください!(↓)