メキシコ雑貨の中でも、その奇抜すぎる外見から、とっつきにくさNo.1を誇る「仮面」。
この記事では、そんな仮面を身近に感じてもらうため、わたしがどんな経緯で仮面にハマったのか、そしてメキシコの仮面の魅力を紹介します。
仮面の魅力がまったく理解できなかった
実を言うと、私自身もかつて「メキシコの雑貨はどれもかわいいけど、仮面にだけは魅力を感じない。」と思っていました。
むしろ、「仮面に手を出してしまったら、だいぶヤバい人」とすら思っていました。
その背景には、わたしの父の存在があります。
わたしの父は昔から古美術を集めており、家にもアフリカの仮面がたくさん飾ってありました。
そう、父はわたしの中で「だいぶヤバい人」の筆頭だったのです。
昔は、「こんなもの家に飾ったら友達が怖がって遊びに来てくれなくなる…」と心配していましたし、父は頭がおかしいと思いました。
そんな感じだったので、私が人生で仮面類にハマることは絶対にないと思っていたし、仮面が好きな人の気持ちは全く理解できませんでした。
わたしにとって仮面は全部同じ、「なんだかよく分からない、気味が悪いもの」でした。
わたしがメキシコの木彫り仮面にハマったきっかけ
仮面への興味ゼロだったわたしですが、ある日メキシコ中央北部の「サン・ルイス・ポトシ」という街を歩いていたとき、ふと立ち寄った雑貨屋である仮面を見つけました。
それが、なんと私の父にソックリだったのです!
その仮面を見て、「これは…父が喜ぶ!!!」と確信しました。
「仮面好きの父は自分の仮面(?)が手に入るし、家族からもひと笑い取れるぞ。」と、ほくそ笑みながら裏面の値札をチェックすると、そこには「3,000ペソ(約18,000円)」の文字。高っ。
なんと、父の仮面は仮面界の高級品だったのです。(普通の仮面は、1/3以下の値段で買えます。)
結局、「別に1万円以上払って父の顔はいらないな、帰れば見れるし。(?)」ということで、買いませんでした。
しかもとんでもなく巨大なので、どう考えても持って帰れませんでした。
それ以来、
「もっと小さいサイズの父の仮面はないものか?」
「3,000円以下なら買ってもいい。」と、とりあえず売られている仮面の顔を片っ端からチェックする日々。
そんな中で、ある発見をします。
「あれ?この仮面、あの仮面とデザインが似てるな」
「この仮面とあの仮面は鼻の彫が同じだから○○村だ。」
「この仮面、前にも見たぞ!どれどれ…お、またマヌエルさん(仮)作だ!」
と、仮面はひとつひとつ違い、村や職人によって「個性」があることがわかりました。
だんだんマスクの目利きができるようになっていったのです。
そして、
「○○村のマスクは、全体的に素朴でいいなあ」
「おお!このデザインは見た事ない!レアい!」
「すごいコレクションだ…ここに飾ってある仮面ぜんぶほしい。」
と、いつの間にかメキシコ木彫り仮面の魅力にどっぷりハマりこんでいきました。
たまたまサン・ルイス・ポトシ周辺には仮面作りで有名な村も何か所かあったので、仮面の種類や数も多く、ハマるのにもってこいのフィールドでした。
メキシコの仮面はおもしろい!
メキシコの仮面のなにがそんなに面白いのかというと、その個性的なデザインに加え、ひとつひとつの仮面に地域の背景や歴史、ストーリーが表現されているところです。
メキシコの仮面は、単に装飾品やお土産として作られたものではなく、もともとは伝統的な祭りや行事に使われている、「生きた工芸品」です。
同じ祭りのある地域でも、村によって、さらに言えば職人によってもデザインが変わり、仮面には、その地域の人々の暮らしや伝統、価値観、そして職人の個性が表れるのです。
そんな風に、一見何が何だかわからない仮面でも、いろんな意味が隠れています。それがわかると、「わかる⇔面白い」の繰り返しで、仮面を見るのが楽しくなってきます!
…ただ、どれだけ知識があっても、何が何だかわからない、意味不明な仮面もよくあります。
この写真は、わたしの家の玄関に飾ってあるメキシコの木彫り仮面です。
真ん中と左は、伝統的な踊りに使われるワニとブタを擬人化したものなのですが、この右の赤黒い仮面は、まったく意味不明です。
ひたいに花のバンドらしきものが巻いてあるのも、何かの楽器のような鼻も、モシャモシャの耳毛も、すべてがナゾに包まれています。
「職人は何を考えてたんだろう」、「なんでこんなデザインを思いついたんだろう?」と、想像力をかきたてられます。
こんな掘り出し物(?)が見つかるのも仮面の魅力。
不思議なもので、知識が増えるに従い、意味わからなければわからないものほど、魅力的にみえてきます。
とにかく、意味があってもなくてもメキシコの仮面は魅力的だということです。(笑)
まとめ
そんなこんなで、わたしはメキシコの仮面にハマりはじめました。
メキシコの仮面は奥深く、知れば知るほど面白いです。
また、お土産に持ち帰った仮面たちは、家族にかなり好評でした。特に、仮面好きの父は、やっぱりかなり気に入っていました。
そういえば、結局、その後も父にソックリの仮面は見つかりませんでした。(後半は探すのもちょっと忘れていました…。)
もし、いつかまたサンルイスポトシの街を訪れる機会を得て、この仮面を見つけることができたら、買って、父の日にプレゼントしようと思っています。
これから、少しずつ仮面に関する記事を書いていきます。
需要はほぼないかもしれませんが…(笑)
わたしの仮面に関する記事を読んでくれたみなさんが、少しでも仮面に、そしてメキシコに興味を持ってもらえたらうれしいです!
次の記事:メキシコの仮面はおもしろい!② 仮面は優秀なストーリーテラー!