ずーっと体験してみたいと思っていた「テマスカル」を、オアハカにいる間にやっとやってきました!
これが、疲れたけどよかった!通いたくなるくらい、最高の体験でした~。
もくじ
「テマスカル」とは
テマスカルとは、オアハカの伝統的なサウナのこと。
「テマス」が蒸気、「カル」が家という意味で、つまり「蒸気の家」という意味のナワトル語です。プレヒスパニック時代(500年以上前)から存在し、当時は宗教的・儀式的な要素も含みました。
(↑)500年前の古文書に描かれたテマスカルの様子
窯揚げの刑みたいになってますが。
オアハカはそんなテマスカルが特に有名らしく、テマスカルを専門でやっているお店も何か所かあります。
だいたい2時間コース(サウナ&マッサージ)で、予算は1,200ペソくらいです。
ザ・儀式といった先住民時代の雰囲気満点のものから、ホテルのスパのような高級感漂う物まで様々。好みに合わせて選べます。
テマスカルの流れ
今回わたしが体験したテマスカルは、簡単にいうとこんな流れでした。
- かまくらの様なかたちの暗くて狭いサウナ部屋に入り、汗をたくさん流す
- 冷水シャワーを浴びてリフレッシュしてからマッサージを受ける
って感じです。
といっても、そのところどころに興味深い要素がありました。
それでは、どんな体験だったのかを紹介していきます!
いざ、テマスカルへ。
今回は、わたしと同じくテマスカル初心者の友達と三人で行きました。
わたしたちの行ったテマスカルは、オアハカ市郊外のものすごい田舎の村の一軒でやっている、非常にこじんまりしたところでした。
朝、タクシーで向かうのですが、到着した瞬間思ったのが「本当に大丈夫か、これ?」でした。(笑)
それくらい、ものすごい田舎にある上に、一見完全にただの民家でした。
しかし、一歩家の中に踏み込むと、中ではお香が焚かれ、少し煙たくなっていて雰囲気満点。
「なんか良さげ!」と、完全に雰囲気に飲まれながら、着替えます。
テマスカルの儀式のはじまり
はだかにシーツ一枚という格好に着替え終わり、暗くキャンドルの灯った部屋に呼ばれて入ると、おばちゃんが薬草の束とお香の入った石のボウルを持って待っていました。
まずは一人ずつ、おばちゃんに体をスマッジ(お香を全身に浴びる)してもらいます。
そのあと、手を広げた状態で薬草の束でバシバシ全身を叩かれます。
なにか悪いものを落としてくれていたのかもしれないですが、シーツ一枚なので、とにかくシーツが叩かれるたび下がるのが気になりすぎてあまり集中できませんでした。
その後、おしりから洞窟の様なテマスカル(サウナ部屋)に入っていきます。
入り口は背が低く小さく、かなり体をかがめて入りました。
中は、すべて土でできているようで少し土っぽい香りがします。
立ち上がってみると、ドーム状になっていて一番高いところでも2mくらいでした。
ベンチのように座れる場所があるので、そこに座って一緒に来た二人を待ちます。
全員が、煙浴び&草叩きの儀式を終えてテマスカルに入ると、おばちゃんがテマスカルについての説明をしてくれました。
おばちゃんが話してくれたのは、こんなかんじのこと。
- この世界には4つの要素がある。それは、土、火、空気、水。
- テマスカルは、このすべてを使って人の体を浄化する儀式。火で熱した石に水をかけて、土でできた部屋で蒸気を全身に浴びる。
- テマスカルの中は母親の胎内と同じで、中にいる間体は浄化されて完全にピュアになる
- 最後外に出てくるとき、人間は子宮から出てくる=新しく生まれ変わることになる
- この部屋は、座っている場所(焼き物)も含め、壁もすべて土でできている
- 石は火山石を使うところもあるけどここは川の石を使っている。その方が熱が長く続く
- 薬草やハーブを煮出した水を石にかけて、蒸気を起こす。この水が体を浄化してくれる
- テマスカル中は、自分自身に集中して内省するといい
テマスカルの中で
ワクワクしながら話を聞き、「よ~し生まれ変わるぞ~」と気合いを入れてテマスカル開始!
かなりストイックなメンバーだったので、「せっかくだから、ガツガツいこう」ということで、勢いよく石に水をかけていきます。バシャッとかけると、薬草水がジュワ~~と蒸発する音がします。
水は、「ヒカラ」というひょうたんを半分に割ったお椀ですくいます。何もかもがとてもナチュラルでした。
ほとんど真っ暗(暗いランプ一個)なので、とても特別な場所にいる気分です。
石に水をかけてしばらくすると、頭の上から暑い蒸気が落ちてきました。
部屋がドーム状になっているので、まず蒸気が上に上がって、落ちてくるようになっているようです。
この頭から熱い蒸気がぶわーっと降りていく感じは、普通のサウナではなかなか味わえない不思議な感覚でした。
より熱さを感じたいときは立ち上がり、熱すぎると感じる時は寝そべるといいそうです。
最初は、一瞬は熱くなるのですがすぐに暑さが引くので、わりとハイペースでバシャバシャかけていました。
途中のアロエ・タイム
段々、それなりに熱くなりはじめたころ、おばちゃんが小さなボウルいっぱいの生のアロエをカットしたものと、飲む用のお水を差し入れてくれました。
アロエは、汗が出た体に塗るんだそうです。
アロエのことはヨーグルトの具としてしか認識していなかったのでビックリしましたが、メンバーのひとり沖縄出身の子は、「よく、日焼けのあととか塗ってたよ~」っていいながら躊躇なく体中に塗っていました。
わたしもアロエを触ってみると、かなりネバネバしていています。アロエの歯肉部分をこそぎとって、顔やら体やら塗りたくりました。
汗とアロエにまみれてみると、もうなんだかいろいろどうでもよくなります。(笑)
少し水を飲んで、水をかけて、蒸気を浴びて、また汗を出して、汗で流れたアロエを追加で塗って、ちょっと喋ってとしているうちに、あっという間に時間が経っていました。
早産
後半になって、土の壁の威力が発揮されてきました。
最初は、壁が蒸気を吸い取ってくれていたのがだんだん飽和状態になり、土の壁も汗をかいている状態に。
そして、蒸気が本当に熱く感じます。暑すぎて、鼻で息ができないほどの時も。
けっこうキツイなあ~と思い始めたころ。
沖縄出身の子が、「キツイ、出たいかも」と言い始めました。
みんな、テマスカルからは好きなタイミングで出ていいことになっています。
それからしばらくして、やっぱりもうムリだったらしく、
「やっぱり、もう出る。私そういえば、生まれた時も早産だったんだよね~。今回もだな。」
と言い残し、去っていきました。
この時わたしは熱さに耐えるがあまりスルーしてしまいましたが、後からその状況を思い出してシュールさに吹きました。
テマスカルから出て、生まれ変わる
その後、半分自分との戦い状態となり堪えていましたが、それから10分ほどたった頃、時間になったらしくおばちゃんに呼ばれてテマスカルから出ました。
出た瞬間、
ものすごい爽快感!!!
空気が気持ちいい~!
と、生誕の喜びを味わう間もなく、すぐにシャワー室に連れていかれます。
「誕生直後のわたしはどんな顔してんのか」と思い横目で鏡を見てみると、赤ら顔でアロエにまみれたヤバい状態のわたしがうつっていました。
そのまま、首の後ろ、右半身、左半身、頭&全身という順番で冷水シャワーを浴びます。
そのあと、「ペリコン」というよくわからない草のお茶を飲みました。
お腹にとってもいいんだそうです。たしかに、ハーブ系の体に良さそうな味がしました。
レモンオイルのマッサージ
それから、レモンオイルのマッサージを受けます。
テマスカルから出るまでは、おばちゃんが一人でまわしていたので、
「もしかしたらおばちゃんが全員マッサージを…?」
と思っていたら、出てきたら新しい人が2人いました。
3人同時に、暗い部屋でマッサージを受けていきます。
リンパの流れを促進させるような感じの撫でつけるようなマッサージを中心に、1時間みっちり、頭からつま先まで全身やってくれました!
ところで、うつぶせにして居る間の頭のドーナッツ枕にどのように顔を設置すればいいのかがまったくわからず、すごい迷走していました。
マッサージはとても気持ちよかったけど、こういう些細なことに気を取られるのはもったいないので、今度行くときは絶対にとれない体にタオル巻く方法と、ドーナツ枕の正しい顔の設置方法を予習してから行こうと思います。
テマスカル終了!!
マッサージもすべて終了し、ぐったりしながら帰ります。
ぐったりしすぎて頭がぼーっとしていたのか、腕時計を忘れて一度戻りました。
「今ってすごい、空気のおいしい、自然一杯の、蚊のいないところでのんびりしたい気分だよね~」といいながら、タクシーで排気ガスにまみれた道を走っていきます。
宿に戻ると、「みんな、顔がぐったりしすぎだよ!」と突っ込まれました。
生まれ変わるって疲れるんですね~。
しかも、このまま寝てしまえたら最高だけど、なんとこのあと3人ともやるべき仕事やらレッスンがあるという。
テマスカルの効果
テマスカルは、ホームページによるとこんなことに効果があるそう。
- 魂(スピリット)・心のバランスを整える
- 消化器官を整える
- 肌の調子を整える
- 血行を良くする
- 体にたまっている毒素を抜く
などなど。
テマスカルは、その後の「のんびりしたい感」「すぐにでも寝たい感」を考えると、体力回復系ではありませんでした。(笑)
とにかく、疲れます!!
たぶん、最初のサウナのテマスカルがかなり体力使うんだと思います。
なので、これからテマスカルに行く人は、その後何も予定の入っていない日や、午後に受けることを強くおススメします!!
それでも、テマスカル、個人的にはとっても好きでした。
疲れがたまっていたのもあり、一度いっぱい汗かいてマッサージも受けて、リフレッシュできた気分です。
ちなみに、レモンオイルをつけたままのしっとり保湿な体で一日過ごし、頭を洗う時にやっと、自分がものすごくスモーキーな匂いを発していることに気付きました。(たぶん薬草の煙の。)
テマスカル、ハマりそう
今回、わたしたちが受けたのは、かなり本格的というかオリジナルに忠実なテマスカルだったように思います。
実際、ウェブサイトの名前も「Temazcal Tradicional(伝統テマスカル)」というURLなので、伝統的な方なんだと思います。
サウナ部屋が全部生土(アドベ)で出来ていたのもすごかったし。
でも、これからいろんなテマスカルを試してみたいですね~。ハマりそうです。
またオアハカに行ったら、何回か、できれば月2とかで通いたい!
わたしたちの体験したテマスカルの詳細
- 名前:Temazcal Tradiconal(たぶん)
- 電話番号 01 (951) 133 05 76
- 携帯電話番号 044 (951) 158 3023
- 住所: Villa Alta Esq. Av.De Las Torres. Col. Edo. De Oaxaca
- ウェブサイト:temazcaltradicional.com
値段&予約方法
値段:テマスカル1時間&マッサージ1時間の2時間コースで、1人あたり1,200ペソ(約12,000円)2024年7月時点
予約方法
電話予約:上記の電話番号に連絡。おそらくスペイン語オンリーです。
直接予約:オアハカ市のセントロに事務所があり、直接行って予約することもできます。
直接予約をする場合の住所は、[Hidalgo 1011, Centro Oaxaca]です。イダルゴ通りの、レフォルマとオカンポの間に入り口があります。(目立たないですがTemazcalって書いてあります。Hotel Dainzuのとなり。)
Museo Textil de Oaxaca(テキスタイル博物館)の入り口から、ソカロと反対方向(東)に半ブロックです。門に入って、左奥に受付カウンターがあります。
注意!
テマスカルを受ける日は、タクシーで向かうので別途往復のタクシー代がかかります。
だいたい片道100ペソくらいなので、3人くらいいるとシェアできていいと思います。
わたしたちは3人で参加しましたが、1,2人でもおそらく同じ値段だと思います。
最後に:テマスカルについて思うこと
このテマスカルを受ける前に、メキシコではなくカナダでこのテマスカルとそっくりな儀式を体験しました。
カナダの方では、リーダーがいたり、決まった歌を歌ったり、先祖を呼びだしたりと、今回のテマスカルでは体験しなかった要素もあったのですが、サウナ内のドーム型のつくりや熱した川石を使うという仕組み、「生まれ変わることを意味する」という部分など、驚くほどよく似ています!
アメリカ大陸の先住民文化は、遠く離れていても共通点がたくさんあるので、これもその一つなのかもしれません。(なので、もしかしたら、先祖を呼びだすテマスカルもあるのかもしれません。)
今、メキシコのテマスカルは商業化されてこのスタイルだけど、本来はもっと大きな役割があるのかもしれないなあと思いました。
詳しく調べていくと、面白いかも。
ほかにも、テマスカルができるところはオアハカ市内に沢山あるので、もし良いテマスカルを見つけた人は、ぜひ教えてください♪
以上、テマスカルのレポートでした。