メキシコのある鉱山の地下深くに、「厨二心をくすぐりまくる」と話題(笑)の場所があります。
それがここ、「巨大クリスタルまみれの洞窟」!!!
クエバ・デ・ロス・クリスタレスってどんな場所?
この場所は、正式にはCueva de los Cristales(クエバ・デ・ロス・クリスタレス)と呼ばれています。
直訳すると、「クリスタルの洞窟」。その名の通り、クリスタルまみれの洞窟です。
photo by Alexander Van Driessche:CC BY 3.0
す、すごい場所だ~~!!
まるでゲームの中の世界みたいです。
あと、昔のスーパーマン(1978年公開)にもこういうクリスタルまみれの舞台ありますよね。
この映画が公開された時には、まだクリスタルの洞窟は発見されていないので、まさにスーパーマンの世界が、現実に…!!ってかんじですね。
現実世界のナイカ鉱山の巨大クリスタルは、すべて「セレナイト」という石膏でできています。
セレナイトは、わたしたちも石屋(?)などでよく見かける石です。
(↑)セレナイト
この写真だと「クリスタル」という感じではないのですが、ナイカ鉱山で採掘されるセレナイトは、透明石膏が多く、「ザ・クリスタル」な見た目です。
photo by Assignment_Houston_One:CC BY-SA 2.5
photo by Rob Lavinsky:CC BY-SA 3.0
このクリスタルの洞窟の中には、なんと長さ10mを越す巨大なクリスタルもあり、世界的に見ても超・巨大な「世界最大の結晶群」といわれています。
見つかっている中での最大は12m。
(↑)クリスタルの大きさを比較してみた図。
ヒト、キリン、マッコウクジラと比較して並べてみました。見て分かる通り、最大のクリスタル(約12m)は、マッコウクジラと同じくらいの長さです!
人間、ちっさ。
ちなみに、月の女神「セレーネ」から名付けられたセレナイトには、強力な浄化作用と癒し効果があり、パワーストーンとしても優秀な石です。
こんな巨大なパワーストーンだったら、めっちゃ癒されそう…!
どこにある?
この洞窟は、メキシコの北部「チワワ州」にあります。
チワワ州の都市・チワワから約1時間南へ下ったところに、「ナイカ鉱山」があります。
メキシコ全体の地図で見ると、こんな感じ。(↓)
この、赤丸●の位置です。(↑)
この鉱山の地下約300mに眠っていたクリスタル空間を、2000年にトンネル掘削をしていたサンチェス兄弟が偶然発見しました!
洞窟の大きさや長さ
洞窟自体の大きさは、27mほどなので、それほど大きいわけではありません。
しかし、その空間の中にびっしりと巨大水晶が林立している様子は、「圧巻」です。
photo by Alexander Van Driessche:CC BY 3.0
人間も、巨大クリスタルを前にするとこんなミニサイズ。
それにしても、ロマンあふれる景色ですね~。
こんなところに、探検しに行ってみたいー!
というわけで、行き方を調べてみました。
クリスタルの洞窟に行く方法
クリスタルの洞窟に行く方法は、あるのでしょうか?
……残念ながら、(わたしも行きたかったので)頑張って探しましたが、観光客がここに行く方法は現時点では皆無でした。( ノД`)
スペイン語で調べても、英語で調べても、ツアーや一般公開情報はありません。
この場所は、巨大クリスタルなどの貴重さから全面立ち入り禁止になっていて、研究者や鉱山関係者など一部の限られた人のみ入ることができます。
そして、研究が一通り終わったら、この場所はまた水で満たされて出入口は封鎖される予定です。
なので、「一般人」でいる限り、これから先も絶対に入ることはできないでしょう…。
唯一、「研究者として行く」という方法がありますが、もう数年後には封鎖されるうえに日本の調査団は関与していないようなので、残念ながらムリそう。
(まあ現実的に考えて普通にムリですが。。)
ただ、これも巨大クリスタルと自然を保護するため。
実際に見ることが出来ないのはとても残念ですが、クリスタルのためにはこの方がいいのかもしれませんね。
巨大クリスタルはなぜできた?
ここからは、なぜこの空間ができたのかをわかりやすく解説していきます。
巨大クリスタルの歴史
ナイカ鉱山の地下には熱~~いマグマがあり、そのマグマは地下水を温めます。
その地下水には、温められて土から溶けだした「硫酸カルシウム(CaSO4)」が含まれています(=地下水はCaSO4で飽和状態)。
図で見ると、こんなかんじ。(↓)
地下にできた空洞がその地下水で満たされ、その状態のまま約50万年が経過します。
50万年間ずっとその状態が保たれたことで、クリスタルが少~~しずつ成長していきました。
(↑)10万年経過。(今から40万年前…地球上にマンモスが誕生したころ。北京原人は誕生したものの、ネアンデルタール人すらまだ。)
少しずつ、少しずつ水晶が成長していきます。
(↑)30万年経過。(20万年前。このころやっと、わたしたちの祖先であるホモ・サピエンスがアフリカで誕生しました。)
にょきにょき。
(↑)40万年経過。(10万年前。わたしたちの祖先が、やっとアフリカ大陸を出ました。)
この水中洞窟は高温多湿(というか温泉の状態)だったため、クリスタルが育つのに最適な温床になっていたようです。
が、今から約30年前の1985年に水が抜かれ、それからは空洞になっています。
ナイカ鉱山では、かつてから鉛(まなり)や亜鉛、銀、石膏がたくさん産出する鉱山として発掘が進められていました。なので、この作業を進めやすくするため、坑道やこの空間から地下水が抜かれた(くみ上げられた)のです。
そして2000年の春、この場所がトンネル掘削をしていたサンチェス兄弟によって発見されました!!
この洞窟は水が抜かれたあとだったので、「クリスタルが乱立するナゾの空間」として発見されたわけです。
その後すぐに、メキシコ国内でこれが「大発見」として話題になりました。
保護のため、封鎖
しかし、盗掘などの被害が心配され、保護のためにこの空間はすぐに封鎖されました。
実際、「巨大クリスタル取って転売したろ。」と忍び込む鉱夫が何人も出てきたそうです。
その中の一人は、巨大なクリスタルを切り取るところまではできたものの、この空間の暑さに耐えきれなかったのか衰弱死した状態で発見されたそうな…。
実際、熱い地下水が抜かれたあとでも地下にマグマがあることは変わらないので、この洞窟の内部はとーっても暑いです。
気温は約 58℃ 、しかも湿度 は90~100% なので、めちゃくちゃ蒸し暑く体感温度は60度以上!!!
この空間の中では、特殊な装備と保護服を着ていないと最長でも10分程度しかいられないそうです。
ちなみに、長時間いると肺が水分で埋め尽くされて、「自分の肺で溺れる」という謎な現象が起こるみたいです。
お、おそろしや…。
最強レベルのサウナ(?)よりもひどい状態です。
それほどまでに、この空間は「人にとって厳しい環境」だということです。なので、どれだけ素晴らしい場所でも、ここを観光地化するのは安全面を考えると不可能なんですね。
…というか、メキシコでは何か貴重なものが発掘されるとすぐに盗掘する輩が群がってくる気がします。メキシコに限らないかもしれませんが…(笑)
わたしがテオティワカン遺跡で発掘のお手伝いをしていたとき、
「数mほど下までは、ほとんど盗掘済みだよ。」
と聞きました。=つまりスゴイものは滅多に出てこない、ということなので、かなり萎えました。
きっと、盗掘品の転売はめちゃくちゃいい商売になるんですね~。
テオティワカンだけでなく、メキシコの遺跡はだいたいどこも盗掘されています。
とりあえず、この巨大クリスタルの洞窟を発見後、即・封鎖したのは、管理者グッジョブだと思います。
研究者による調査や特別な(ナショナルジオグラフィックとかの)撮影のためにしか、ココに立ち入ることはできず、今でも「絶対に入れない秘境」の地位を守り続けています。
世界的に有名に。
ここは、National Geographic(ナショナル・ジオグラフィック)の写真集の中で「水晶の大迷宮」として紹介されています。
良いネーミングセンスだわ…(笑)
ナショナル・ジオグラフィックによるナイカ鉱山の写真は、本当に綺麗で壮大です。この動画(↓)のトップがそれですね。
めっちゃキレイ…!!!ナイカ鉱山内の、とても貴重な動画です。
人、ちっちゃ!ってなりますね。
この人達、思ったよりも普通の格好をしていますが、一応冷やした空気を送りこむ装置を身に付けているようです。
(↑)こちらはメキシコのテレビ局による動画。
イギリスのテレビ局BBCが取材に来たときの動画もあり、こちらから見られるようですが、だいたい上の動画と同じ感じです。
それでも、いくら見ても飽きない壮大さ。
ありきたりですが、自然ってすごいなあって思います。(笑)
次のYouTube動画(↓)では、ナイカ鉱山内で撮られた写真がたくさん紹介されていました。
また、日本では、NHKの『ワンダー×ワンダー』や、『地球ドラマチック』という番組でも紹介され、知っている人は少しずつ増えていっているようです。
なんだか、無理だとわかると余計行きたくなりますね~。
以上、メキシコのチワワ州になる「巨大クリスタル洞窟」についてでした!