豪勢なクリスマスパーティーを終え、テキーラ合戦の名残の重~い二日酔いに全力で苦しんだホセ・ファミリー。
なぜかみんな「二日酔いにはスシが効く!」と思いこんでいました。
これまでのホセ記事まとめ
- メキシコのアミーゴ① すべてを賄賂で解決する男、ホセ
- メキシコのアミーゴ② 上位2%のお金持ち、ホセの暮らす家
- メキシコのアミーゴ③ 動物を(規格外に)愛する青年、ホセ
- メキシコのアミーゴ④ 絶滅危惧種を違法でペットにする男、ホセ
- メキシコのアミーゴ⑤ ホセファミリーとクリスマスパーティー前編
- メキシコのアミーゴ⑥ ホセファミリーとクリスマスパーティー後編
とにかくスシが食べたいホセ
ホセは、わたしがホセの家に来てすぐ、
「スシの作り方を、うちのメイドに教えてやってくれ!そうすれば、いつでも家でスシが食べれる!」
と言うほど、寿司が好きなようでした。というわけで、クリスマスパーティーから数日たったある日、ホセの友達を沢山招いて寿司パーティーをすることになりました。
寿司パーティーの開催が決まった時点で、ホセは超ワクワクモードでした。
「日本人が作る寿司は初めてだから、すごく楽しみだ!メキシコの寿司は、メキシコ人が作るから絶対に何かが違う。おれはついに、本物のスシを食べることができるんだ!!」
と、壮絶にハードルを上げてきました。
「スーシ!スーシ!」
と連呼しているホセを見て、これは日本人として頑張らないとな…!と気合いが入りました。と言っても寿司を作ったことなんて人生で一度もありません。前日の夜は、クックパッドで予習しました。
寿司の材料を買い出しにスーパーへ
当日、「寿司パーティーだよ」と言って集まったホセの友達と一緒に、まずはスーパーに買い物に行きました。大きめのスーパーで、それぞれが寿司に入れたいものをとりあえずカゴにいれ始めます。
そしてまず、当たり前のようにアボカドが5,6個と、レタスが入れられました。
ま、まあ入れることもあるよね。カリフォルニアロールとかね。
と思いながら進み、次にホセが「あーっ!これこれ。これは外せないよね~」といいながらクリームチーズを投入してきました。
「い、いや、クリームチーズは日本のリアル・スシには入れないからー。」と、棚に戻そうとすると、ホセは
「いやいや!おれはクリームチーズ入りじゃないと嫌なんだ!」
と、全力で主張し始めたので、
(あれ?これって本物のスシを味わうための会じゃなかったっけ…?)
と思いながらも、ホセの勢いに負けてとりあえずクリームチーズを許可しました。この時点ですでに「日本の寿司」が作られる可能性はゼロになっていました。
しかし、どちらにせよそのスーパーには、日本の寿司に必要な生の魚類は全く売られていなかったので、前日の予習は空しくも無駄になり、結局カリフォルニアロールを作ることになりそうでした。
ホセはカリフォルニアロールが日本の寿司だと思って疑わず、むしろカリフォルニアロール希望な感じだったので、わたしは「日本人として、日本の本物のスシを作る!」というプライドはさっさと捨てました。
(↑)わたしの作りたかった本物のスシ図
寿司の材料コーナー発見
スーパーの奥に、寿司の材料コーナーを発見しました。
メキシコでは最近SUSHI人気がすごいので、大きめのスーパー(特に外国の料理に強い系の)に行けば、スシはじめ日本料理の材料も、(生魚以外は)結構充実しています。そこのコーナーには、酢飯用のお酢とお米、ノリ、手巻き用の道具など、なんでもありました。
ホセは、ついてすぐに
「おれは材料にはこだわる派だから!」
と一番値段の高い「Arroz japonés(日本の米)」を3袋購入していました。
日本米であれば、とりあえず寿司は作れるかな…。とホッとしていたところ、
「あれ?!ちょっとまって!こんなのもある!」
とホセが嬉しそうにしゃがみ込みました。
彼が目をキラキラさせながら手にしていたのは、「Arroz japonés colorado(色付き日本の米)」。超絶ケバい原色の米です。
パッケージには、「SATORU」と書いてありました。サトル…。
こんなん需要あるんか、メキシコ恐るべし…!と衝撃を受けつつ、
「いやいや、これじゃあスシは作れないよ!そんな色のスシは日本にはないから…」と断ると、
ホセは
「そうか~。…じゃあピンクと青だったらどっちがいい?」とあきらめません。
しかも、これはいわゆるDouble Bind(ダブル・バインド)の交渉術。(「Yes」or 「No」の代わりに「A」 or 「B」の選択肢で質問することによってまるで初めからYesが決定しているかのように錯覚させる心理作戦。)ザンビアで会ったときにホセが雑談しながら教えてくれた技です。
「なにここでわたしに交渉術使って来とるんだ」と思いましたが、
カラフル米だけは断固拒否。
ノリと米とお酢をかごに入れて、進みます。
この時点で、もうホセの中ではわたしの作るものは「スシ・ロール(海苔巻き)」と決まっていたようなので、海苔巻きの用の道具も買いました。
寿司の具
そして肝心の魚ですが、種類が全然ない。
メキシコのスーパーでも、海の近くの地域なら様々な魚が売られている場合もあるのですが、ここは標高2,000m超えのメキシコシティ。
冷凍の白身魚とエビ、そして巨大なスモークサーモンしかありません。「とりあえず、スモークサーモンでもいいか…」と手を延ばすと、
「ええっ魚?!おれは魚きらいだから、入れない方がいいよ!」
とまたホセが茶々を入れてきます。
魚嫌いなのにスシが好きってどういうことだと思いましたが、とりあえず今回のホセの要望は「本物のスシを作る」こと。食材のチョイス的にもうほぼ不可能ではあるものの、最低でも魚は入れないと!と思い、
「本物のスシって魚食べるもんだから、魚ないと始まらないよ!」
と食い下がってみました。すると、
「ノーーー!スシは魚なくても作れるはずだ!ほら、これとか。クラブとか使えばいいじゃん!」
とカニカマを渡してきました。
そして続けて
「臭い魚をスシに入れたら、スシが台無しだよ!このクラブミート(カニカマ)なら、スシの香りをジャマしないし。」
と、謎のスシ論を語ってきたので、いろいろ突っ込みどころはあるものの
「まあでも、魚嫌いならしかたないか…」
と、諦めてカニカマをカゴに入れました。
レジにて
寿司を作るための材料がだいたい揃いました。
「さあ清算だ。」とレジで食材で山盛りのかごを置き、レジのおじちゃんがどんどんバーコードを読み取っていくのを眺めていた時。
カゴの下の方に、まさかの青いサトル米が潜んでいるのを発見しました。
いつの間にか入れられていた!!!
バッとホセの方を見ると、
「いや、今回は使わなくてもいいんだよ、全然。とりあえず、ね…いつかのスシ用に買っておこうとおもって。」
とよくわからない言い訳してきました。よほどサトル米が欲しかったようです。
もうレジの人がバーコードを読みこんでしまったので仕方なく買いましたが、
「この米だけは絶対に使わないぞ…これ以上ホセの思い通りのスシになってたまるか!!」と熱い思いを胸にたぎらせながら家に帰りました。
これから、ついにスシを作ります!
なんか長くなってしまったので、つづく。→『メキシコのアミーゴ⑧ スシ大好きなホセ。一緒にスシ作る編』
追記(サトル新情報)
なんと「サトル米」を思い出しついでに調べてみたら、公式ホームページ【http://www.satoru.com.mx/】を発見しました。「SATORU」は会社名らしいです。メキシコの会社で、やっぱり一押しは色付き米。
そんでホセが買ったのはたぶんコレ(↓)
なんか「ブルーライス」って小さく日本語で書いてある…!
プロモーションビデオもありました。(↓)
衝撃的。。
メキシコはほんと何でもすぐにカラフルにしてきます。SATORUが想像以上に大きい会社だったのにもびっくりしました。
あと、この色付き米で「スシアート」的なものも作れるらしいです。(↓)
な、なるほど…。きれいだけど、でも…食べたくはない!笑
「色付きの米ではなくて、できれば食材の自然な彩りを作ってほしい。」と思ってしまいました。あと、このBGMも気になります。カタコトの日本語でずっと何か言ってるんです。
とくに0:50くらいから、「カミサマ…カミサマ…カミサマ…」って言い出すところと、0:57の「イチ、ニ、サン…スシダンス!」のところがとても気になりました。
以上、サトル米について新情報でした。