コラム

目の見えない少年が「五感で見る色の世界」を描いた、美しい絵本。

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みなさんに、ぜひ知ってほしいメキシコ生まれの絵本があるので紹介します!

「五感で読む」という通り、ふつうの絵本とはちょっと違う新しいタイプの絵本です。

その絵本の名前は『El libro negro de los colores(色についての黒い本 [仮])』。

五感すべてで読む、美しい絵本『色についての黒い本』

絵本の内容は、以下のとおり。

『色についての黒い本・仮』(原題:El libro negro de los colores)はメキシコ生まれの美しい絵本。真っ黒な紙に、銀色の文字と、光沢のある透明なインクのレリーフによるイラストと、点字によって書かれた文章が印刷されています。そこに広がっているのは、目の見えないトマスが感じている“色”の世界。視覚障碍者と言われる人々にとっての色とはどんなものなのか、どんな感覚として伝わっているか、どんな風に認識されているか。トマスという男の子の素朴な言葉と、触れることのできる美しいイラストで描かれています。

引用:Thousands of Books

目の見えない少年トマスは、この世界をどんな風に感じているのか。

世界に溢れる鮮やかな「色」をどのようなものだと思っているのか

それを、「さわって感じられる真っ黒な絵本」というかたちで表現しています。

目の見えないトマスが、五感で「見ている」世界のお話なのです。

『色についての黒い本』の絵本の中身

『El libro negro de los colores』の中身は、こんなかんじです。

黒い紙に、透明のインクでトマスにとっての「色の世界」が描かれています。

 ‟トマスが言うには、黄色はマスタードの味。でも、ひよこの羽の手ざわり。
赤は、いちごみたいに酸っぱくて、すいかみたいに甘い。でも、ひざを擦りむいたときみたいに痛い。”

(本文より一部を翻訳したもの)

引用:Thousands of Books

この透明なインクで描かれた絵を手で触って、トマスの世界を楽しむことができます。

目の不自由な人にとっての色、それは決して認知できないものではなく、むしろトマスは、五感すべてを使って色を感じとっています。目で見ることなく、色を知る。感じる。認識する。そのことが、この絵本を読むことによって、小さな子どもにも伝わる仕組みになっています。

目が見えないということは色が分からないということではない。目の見えない人たちの世界の豊かさが、この絵本の文章とイラストによって、日本の多くの子どもたちに知ってもらえるとしたら、それはなんて素敵なことだろうと思いました。

引用:Thousands of Books

(↑)「イスパニカ」の代表、本橋 祈さんのことば。この絵本の日本語バージョンプロジェクトの発起人です。

 

普通、「絵本」というとカラフルな絵で溢れているものですよね。

だけど、この絵本はすべてのページが真っ黒で、実際の「色」はまったく使われていません。

それでも、この絵本を読んでいる人の頭には、トマスが描いている「色に溢れた世界」がとても鮮やかに浮かんできます。

『El libro negro de los colores』は、そんなとっても不思議な魅力を持つ絵本なんです^^

(↑)こちらは絵本のイメージがよくわかる動画。

光沢のある透明インクで描かれたイラストが美しいです^^

こんなに美しい「触れる絵本」はないと思う

日本には、今までこの本の他にも「触れる絵本」はたくさん出版されてきました。

もこもこの素材がついていたり、ページの下に点字が打ってあったり…、それぞれいろんな工夫がされています。

それらの「触れる絵本」は、いままで目の見える子どもたちも目の見えない子供たちも一緒に「絵本を読む」という楽しみを分かち合うために生まれてきました。

しかし、それらの絵本のほとんどが、子供向けのものや、目の見える子どもたちの方が感覚的にはよくわかる内容でした。

なぜなら、この世界は、やはり「目が見えること」が前提になりたっている事・モノが圧倒的に多いし、絵本自体も「絵が見えること」が前提の読み物だから。

だけど、この絵本では、目が見える人も、目が見えない人も、同じように一緒に「トマスの世界」を感じることができます。

そして、絵のデザインや言葉の表現は、子供だけでなく、大人が読んでも美しいと感じるもの。

トマスという一人の少年が、目が見えない中で感じている・想像している世界を、一緒に冒険して、いつも見ていて「知っているはずのもの」が、トマスの立場から見るとまったく違うものになる、という新しい発見や、驚きを感じられる…。

絵本は、「子供」や「目の見える人」のためだけのものではなく、それを超えてすべての人のためにあるべきだなあと、この黒い絵本から感じさせられます。

「読む人全員が、同じように楽しめる読み物」として、この絵本には大きな価値があるし、こんなに美しい「触れる絵本」はないと思います!!

日本語バージョンの『色についての黒い本』

この絵本、メキシコ生まれなのですが、現在までに世界中で、たくさんの言語に翻訳されて出版されています。

スペイン語・フラマン語・ポルトガル語・英語・フランス語・ドイツ語・イタリア語・韓国語・簡体字中国語・ポーランド語・ポルトガル語・繁体字中国語・トルコ語・ウクライナ語・アラビア語、などなど!

そしてこれから、「日本語バージョン」も作っていくんだそうです^^

日本語バージョンには、原書にはない点字シートもつき、目の見えない人でも、目の見える人と同じように楽しむことができるようになっています。

一応、絵本のページの左側にも点字があるのですが、これだけだと凸凹が弱すぎて読むのが難しいのだそう。付属の点字シートには、凹凸のしっかりした読みやすい点字がかかれます!

そして現在、日本の出版社が日本語バージョンの絵本の制作のために「クラウドファウンディング」を通して資金を募集しているそうです。

ちょっと安く「予約購入」できる

「クラウドファウンディング」というと、支援・寄付というイメージが強いかもしれませんが、海外などでは、「自分が欲しいモノを、ちょっと安く予約購入できる方法」としても有名です。

たとえば、「ゲームの開発費に100万円が必要!もし200人が5,000円を寄付してくれたら開発できます。実現して発売開始したら、お礼に定価6,000円のゲームを差し上げます」とか。(つまり、この場合は定価6,000円のゲームが5,000円で手に入るってこと!)

だから寄付とかよりも純粋に「ほしい!」ってワクワクした気持ちで、買い物感覚で「出資」する人もとても多いです。

この絵本も、もともと作るのにお金がかなりかかる特殊な絵本なので、定価が少し高い(定価:3,780円)のですが、クラウドファウンディング「書籍1冊」プランで購入すれば一冊3,672円で、定価よりも少しだけお得に手に入ります。

また、もしプロジェクトが実現しなかった場合は、出資したお金はすべて帰ってきます。なので、出資者側も絶対に損はしない仕組みです。

わたしの場合、この絵本の実現のために協力したいというだけでなく、単純にこの美しい絵本が欲しかった!!という動機でもって、今回は出資してみました。(もちろんそれがこのプロジェクトの助けになるならとても嬉しい!!)

絵本に興味のある人・この黒い絵本が欲しい!と思う人は、リンク先からチェックしてみてください^^

(↓)

「ボローニャ国際児童図書展ラガッツィ賞を受賞。世界14ヶ国語に翻訳されている、メキシコ生まれの真っ黒な美しい絵本を翻訳出版したい!」(→https://greenfunding.jp/thousandsofbooks/projects/2416

 

いろいろな出資プランから選べて、一番安いものは

  • 翻訳出版プロジェクトを応援コース 1000円(寄付型なのでこれには絵本がつきません)

で、ほかにも

  • 電子書籍コース 2,052円
  • 書籍1冊コース 3,672円

などあり、好きな支援方法が選べます。

個人的には、せっかく触って楽しめる本なので「本物の紙の書籍がつくコース」にするのがいいと思います!

わたしは書籍一冊コース(3,672円)にしました^^

ちなみにクラウドファウンディングの期限が「2018年10月31日」までらしく、目標額まで達成しなかった場合、プロジェクトは頓挫してしまい、日本語の絵本は手に入りません( ノД`)

現在、達成率はちょうど半分くらい。

あと2週間、がんばれ~~!!!

 

また、出資するには「GREEN FUNDING」というクラウドファウンディングのウェブサイトへの会員登録が必要になります。Yahoo!と提携されたサイトで安心ですし、支援にはTポイントも使えます。(笑)

今まで「クラウドファウンディングってよくわからないから不安…」と思っていた人も、日本のサイトで仕組みもわかりやすいですし、この機会にトライしてみてはいかがでしょうか^^

こんなに素敵な絵本、そして有意義なクラウドファウンディングプロジェクトは、なかなかないと思います。

どうか、目標金額達成&日本語バージョンの絵本が実現しますように!!

 

詳細はこちらから!(↓)

ボローニャ国際児童図書展ラガッツィ賞を受賞。世界14ヶ国語に翻訳されている、メキシコ生まれの真っ黒な美しい絵本を翻訳出版したい!

 

本記事の絵本の写真©:Thousands of Books