オアハカで人気の陶器といえば、「Barro Negro(バロ・ネグロ)」
オアハカの地元の土を使って作るローカルな焼き物で、その美しい光沢にファンも多い手仕事です。
今回は、そんなバロネグロについて紹介します!
もくじ
Barro Negro(バロ・ネグロ)とは
特徴は、なによりもその色。「Barro Negro(=直訳で黒い陶器)」の名前の通り、真っ黒な陶器です。
この真っ黒な色は着色されたものではなく、使用されている土の自然な色です。
バロネグロの生産地
バロネグロのほとんどは、オアハカ市内から車で15分ほど南に下った所にある、
「San Bartolo Coyotepec(サン・バルトロ・コヨテペック)」
という小さな村で作られています。
オアハカ市周辺の、民芸品作りが盛んな村々を繋いだ道を「Ruta Magica(魔法のルート)」と呼ぶのですが、この村はそのルートの中でも特に大切な村です。
この村に住む人の多くが、このバロネグロ作りに携わっていて、村を散歩するとたくさんのバロネグロ工房やショップが見つかります。
オアハカ市からアクセスもいいので、訪れる観光客も多いです。
村への行き方については、後で詳しく紹介します!
バロ・ネグロの歴史
この陶器の歴史はとても古いです。
古代メキシコ時代
古代メキシコの、モンテ・アルバンの時代(紀元前500年)までさかのぼります。つまり、2,500年以上の歴史があるんです。
かつても、同じ土から陶器を作っていたのですが、当時のものは灰色っぽくマットな質感でした。
植民地時代〜近代
植民地時代も、この辺りの人々の生活道具として作られてきましたが、かなり地味な見た目なので、オアハカの他の民芸品「タペテ」や「刺繍服」ほど販路は拡大しませんでした。
なので、あくまでも「オアハカのローカル陶器」という位置付けでした。
20世紀後半と、巨匠ドニャ・ロサ氏による発明
1940年代にパンアメリカンハイウェイ(メキシコシティとオアハカを繋ぐ主要道路)ができ、さらに1950年代以降の海外観光客の増加します。
そんなベスト・タイミングで、1950年代、Doña Rosa(本名はRosa Real Mateo de Nietoさん)さんという女性職人が、より黒く、光沢を出す方法を発明。
ツヤツヤと輝く真っ黒なバロネグロが、観光客からの脚光を浴びるようになりました。
Doña Rosaさんは、「バロネグロに革命を起こし、この村の手仕事を守った」ことで国からも「Grande Maestro(巨匠)」の称号を与えられ、最後までバロネグロ作りを続けました。
彼女はすでに亡くなくなっていますが、彼女の家族が今も村の「ドニャロサ工房」で、バロネグロの陶器作りを続けています。
↑Doña Rosa工房にて、焼き物のデモンストレーション風景
バロネグロの種類
Doña Rosaさんの影響により、現在も「真っ黒で光沢のあるタイプ」が主流になっています。
形は、鍋、ランプ、マスクなど様々な種類が作られていて、単純に「置物」だったり、大きめの芸術作品もあったりします。
光沢のないものも、一部売られています。
↑茶色いものも!
バロネグロを買える場所と、安い所
メキシコ国外
陶器系はどれもそうですが、海外や日本ではほとんど手に入らないです!
一部の専門ショップが取り扱っていることがあるようですが、やっぱり割れ物なので他の民芸品と比べるとレアです。
メキシコシティ
メキシコシティでは、おしゃれな民芸品ショップや、シウダデラ市場などで結構見かけます。
値段も、オアハカほどの安さではないですが、そんなに高くないです!
オアハカ市内
オアハカ市内では、いろんなショップで見かけました!!
村に行けない人、オアハカ市内で買いたい人は、中心地のアルカラ通りにある「Huizache」というお店が、安くて種類も豊富です。
生産地の村(サン・バルトロ・コヨテペック)
一番安いです。
ランプシェードひとつ20〜50ペソなど、「こんな安くていいの?!」と驚くこともあります。
バロネグロを買う前に知っておきたいこと
オアハカ市内で買うより、村の方が安い
オアハカ市内でも、バロネグロが売られているショップがあります。
ただ、村の方がやっぱり少し安めです。
食器としては使えない
現在の光沢のあるタイプのバロ・ネグロは、その性質上、水や食べ物を入れるのには適していません。
なので、食器類は(売られているけど)や鉢植えなどは、実際には使わない方が良さそう。デコレーションとして飾るもの、だと思っておいた方がいいです。
花瓶も、ドライフラワー専用ですね。
オアハカ市内のレストランでも、光沢のあるバロネグロの食器を使っているお店は今のところ見たことがありません。
違う村で作られる「バロロホ(直訳:赤い陶器)」は、水にも熱にも強く、多くのレストランで使われています。
なので、オアハカの陶器の食器がほしい人はバロロホの方がおすすめです!
緩衝材がもらえない
バロネグロ、土の性質的に結構脆いです。
なのに、高級ショップでない限り緩衝材(プチプチなど)がもらえません。。(これ最初はちょっとカルチャーショックでした😂)
どうするかというと、新聞紙や薄〜い紙で包んで渡されます。
割れちゃう!!!
なので、もしバロネグロをたくさん買うつもりなら、かさばるけどプチプチを持参した方がいいかも…。もしくは、自分の服で包んでパッキングしたり、手持ち荷物にしたりした方がいいです。
サン・バルトロ・コヨテペック村への行き方
現地ツアー
オアハカでは、地元の企業による「1日ツアー」が開催されていて、サン・バルトロ・コヨテペック村の工房がコースに組み込まれたコースもあります。
しかも、1日ガッツリ楽しんで一人200ペソ(約1,200円)と格安!!
同じツアーコースで、
- 世界遺産「モンテ・アルバン遺跡」
- 木彫りの村「San Martin Tilcajete村」
- 青空礼拝堂のある「クイラパン修道院」
にも訪れることができて、とっても効率的に見所を巡れます。
事前予約よりも、現地の中心地にあるツアー会社に直接行って翌日以降の予約をする方が安いです。
詳細はこちらの記事でも紹介してるので、興味のある人はチェックしてみてください。↓
ツアーで訪れる工房
わたしがこのツアーに参加した時は、先ほども紹介したドニャ・ロサ工房を訪れて、デモンストレーションも見ることができました!
ここは、村で一番見るべき工房なので、これはありがたい。広いし作品もとても多いので、買い物にはぴったり。値段もリーズナブルです。
(他のツアー会社だと、違う工房に行くかもしれないです。)
ツアーのメリット・デメリット
ツアーのメリットは、大人数で行くのでデモンストレーションを見せてもらえる点。(個人で行っても、なかなか見せてもらえないので…。)
使う土の紹介から、手動ろくろで形を作る様子、光沢を出す秘密など、いろんな「わざ」を見せてもらえます。
ツアーのデメリットは、一つ一つの工房をじっくり見ることはできず、村を散策する時間がない点。(滞在時間は、20〜30分ほど)
しっかり村を見たい人は、ツアーに参加してサクッと見た後に、個人で村を訪れてもいいかもしれません。
そんなに遠くないので、個人でも簡単に行けます。
個人での行き方
オアハカ市内から行く方法を紹介します。
バスか乗合タクシーで行くことができますが、乗合タクシーの方がおすすめです。
バスだと時刻表に行動を合わせないといけないし、いろんなバス停に止まるので、乗合タクシーの2倍時間がかかっちゃいます。
値段は、15〜20ペソ/人で、バスも乗り合いタクシーもほとんど変わりません。
乗合タクシーの乗り方
オアハカ市の南東にある「アバストス市場」の隣の乗合タクシー乗り場に行きます。
このあたりに行くと、フロントガラスに行き先が書かれた赤と白の乗合タクシーがたくさん走っています。
この中で、「San Bartolo Coyotepec」もしくは略して「San Bartolo」と書いてあるタクシーを探して乗ります。
なかなか見つからない時は、ちょっと料金は高くなりますが、同じ方面の「San Martin Tilcajete」や「Ocotlan」行きでもOKです。
乗り込むときに、運転手に、
「サン・バルトロ・コヨテペック村に行きたい(”Quiero ir a San Bartolo Coyotepec”=キエロ イル ア サン・バルトロ・コヨテペック)」
と伝えておきましょう。
客が5人集まったら出発です。まさかの助手席に二人乗りでかなり狭いので、後ろの席がおすすめです。
降ろされる場所
村の入り口の、主要道路沿いで下ろしてくれます。
大体、この辺り。↓
この公園の近くで降ろされることが多いです。
上の地図のピンのところは「Mercado de Artesanias de Barro Negro(バロネグロ市場)」。
村を散策しなくても、ここさえ覗けば、村の工房作品が一通り集まっています。
帰り方
同じ主要道路沿いに戻り、オアハカ方面の車線側で、赤&白の乗合タクシーが通るときに手を挙げます。
帰りは、フロントガラスの行き先は気にしなくてOK。どれもオアハカ行きです。
空席があれば、止まって乗せてくれます。
サンバルトロコヨテペック村の、もう一つの見所「MEAPO」
バロネグロ市場のある公園に面した、民芸品専門博物館「MEAPO(Museo Estatal de Arte Popular)」は、めっちゃレベル高い展示が多く、見応えがあります!
メキシカン・ピンクの外壁が目印。
中は結構広く、ショップも併設されています。
オアハカの民芸品が好きなら、見る価値ありです!!
わたしも、この村に行くたびに展示を覗いてます。
この村の、焼き物以外のおすすめの見所です。
まとめ
以上、真っ黒な陶器「バロネグロ」と、その生産地「サン・バルトロ・コヨテペック村」の紹介でした!!
この情報が、これからバロネグロを買いたい人や、村に行きたい人の役に立てば嬉しいです😄
オアハカ周辺の他の民芸品については、こちらの記事も参考になると思います。↓