メキシコのゲレロ州は、メキシコでもっとも絵付け産業が盛んな地域のひとつ。
鮮やかな花模様が美しい、ひょうたんや木彫りの伝統工芸品を見つけることができます。
メキシコ流・漆絵付け
「漆塗り」というと、「渋い味わいの工芸品」というイメージを持つ方が多いと思うのですが、メキシコの漆塗り(漆絵付け)は、かなり違います。
メキシコ流の漆絵付けは、とにかくカラフル!
天然素材で作った色付き漆の上から鮮やかな絵を重ね、エレガントさとポップさを併せ持った華やかな作品が多く作られます。
花が隙間なく描かれた華やかなもの、花びらや葉っぱのグラデーションの美しいものと、柄もさまざま。
すべて手塗りなので、ひとつひとつが世界に一つしかない柄です。
漆絵付けグッズ
漆絵付けは、木彫りの箱やトレー、ひょうたんに施されます。
ひょうたんは、上部が切り取られ、小物入れとして使うことができます。
また、メキシコの漆絵付けグッズは、漆塗りの上に絵付けがしてあるので、食べ物や液体を直接入れるのには適していません。
漆絵付けがされた工芸品は、主要な生産地のゲレロ州だけでなく、メキシコ各地で見つけることができます。
メキシコシティの民芸品市場「シウダデラ市場」でも、たくさん見つけることができます。
⇒メキシコらしいお土産探しならシウダデラ市場!魅力と行き方も紹介
こだわりの漆絵付け
漆絵付けには、かなりの手間と時間がかかります。
ここでは、漆絵付けの巨匠である「Francisco Coronel Navarro」氏の作業行程を紹介します。
- 漆を塗る材料(木材・ひょうたん)を、紙やすりで磨きます
- 表面に、チアシードの油と土性顔料を混ぜ合わせた天然ニスを塗り、乾かします。
- 石でこすり、表面をなめらかにします。
- チアシード油と石灰質の顔料粉(その他天然着色料)を混ぜた天然の漆を塗ります。
- 理想的な色合いとツヤが出るまで、繰り返し漆を塗り重ねます。
- その後、天候によっては一か月ほどかけて完全乾燥させます。
- 下描きをし、一色づつ色を入れていきます。一色いれるごとに、完全に乾くまで待ちます。
- 一色づつ色を入れる工程を繰り返し、鮮やかな絵を完成させます。
絵付けの柄
絵付けには、花模様がよく描かれます。さまざまな種類の色とりどりの花が、とても細かいタッチで描かれます。
花の種類は、マーガレットの様なシンプルな花から、パンジー、バラ、鈴蘭など、制作者によって様々です。
ほかに、小鳥や小動物が描かれることもあります。
大きいサイズの作品には、カラフルなタッチのメキシコの田舎風景が描かれることもあります。
絵付けに使われる筆
とても細かい絵付けになるので、筆も特別細いものが使われます。
巨匠のNavarro氏は、猫の毛や鳥の羽を使って自分で筆を作っているのだそうです。
産地:Guerrero(ゲレロ)
みんなが知らない漆塗りの事実
日本の伝統工芸でもある漆ですが、…実はメキシコで生まれた技術でもあります!
メキシコ流・漆には、日本の漆には使われない特別な材料が使われます。
メキシコの漆の歴史や材料、おすすめの漆グッズについて、こちらの記事で紹介しています。
⇒漆塗り芸術の発端は、実はメキシコ!?「メキシコ流・漆塗り」とは
以上、艶やかな花模様が美しい、メキシコ流「漆絵付け」の魅力でした。