漆の芸術が誕生したのは極東の日本や中国だと思われています。
しかし、漆を使用したアートが最初に作られたのは、実はメキシコなのです!
メキシコ流の漆塗りはとってもカラフル!
メキシコでは、漆を使ったさまざまな民芸品・アート作品が作られています。
「漆塗り」というと、日本の民芸品で考えると「渋いイメージのもの」が多いと思うのですが、メキシコのものはとてもポップでカラフルなかわいらしいものが多いです!
メキシコ流・漆について
漆の材料
メキシコ流の伝統的な漆は、油と、石灰石の粉末、天然着色料などの天然素材を混ぜて作られます。
その漆を、何度も繰り返し塗り、磨くことで、漆特有の光沢が生まれ、また素材にもなじんでいきます。
漆が塗られる素材には、木材やひょうたんが多く使われます。メキシコはひょうたんの主要生産地でもあり、多くのひょうたんアートが売られています。
漆の材料へのこだわり
漆の色付けには、合成の人工着色料が使われることもありますが、現在でも多くの工房や職人が天然着色料を使っています。天然着色料は、
古くから使われてきた、メキシコ民芸品の伝統なのです。
メキシコの漆に使われる「油」は、主に昆虫とチアシードから抽出されたものです。
(Public Photo Domain)
チアシード
チアシードは、最近日本でも有名になっている「スーパーフード(健康食品)」です。メキシコ原産で、なんと古代文明のプレ・ヒスパニコの時代から様々な用途で使われていました。
漆の伝統を守るために
最近は、漆の材料の油に、油絵の具の材料でもある「亜麻仁(アマニ)油」も使われるようになったのですが、チアシードから抽出した油の方の方が質が高いといわれています。
しかし、亜麻仁油の方が簡単に手に入るので、近年はチアシードではなく亜麻仁油を使う職人が多くなってきました。
メキシコの伝統工芸品の質が低下してしまうことを懸念したBancomer Cultural Foundation(メキシコの銀行の文化財団)は、生産地の職人たちと会議を行い、材料が不足している工房に材料を供給することが決定しました。
漆塗りの生産地
漆塗りアートは、主に以下の地域で生産されています。
- チアパス州のChiapa de Corzo
- ゲレロ州のOlinaláTemalacatzingoとAcapetlahuaya
- ミチョアカン州のUruapanとPatzcuaro
これらの地域で生産されたものは、伝統的な方法で作られたものが多いです。
また、デュランゴ州やハリスコ州に住むウイチョル族の間でも、漆を使った作品が作られています。商業的な目的で作ったものではないので、あまり見かける機会はありません。
おすすめの漆作品
特におすすめなのは、ひょうたんを使った漆作品です。
日本にもひょうたんの民芸品はありますが、なかなかここまで鮮やかなひょうたん作品は見ることができません。
実は、日本ではひょうたんは素材としてかなり高価なので、お手軽価格で手に入るメキシコで買っておきたい、おすすめのお土産です!
以上、メキシコの漆塗り作品についてでした。
参考サイト:”Mexican Lacquer Work” <http://lasmanitaslapaz.blogspot.jp/2012/05/mexican-lacquer-work-artist-juan.html>(2017年4月20日閲覧)