メキシコの中で「最もカラフルなアルテサニア(民芸品・民族アート)」と言われているのが、ウイチョル族のビーズアート。
幻覚で生み出される独特なデザインが大人気です。
もくじ
ウイチョル族とは
ウイチョル族は、ナヤリット州、ハリスコ州、サカテカス州、ドゥランゴ州に住んでいるメキシコ先住民です。
彼らは、主に「Sierra Madre Occidental(直訳:西部母山)」という、メキシコ西部と米国南西部を覆う山にある村々に住んでいます。
ウイチョル族は、自分たちのことを「Wixáritari(ウィラリタリ)」(ウイチョルの言葉で「人々」という意味)と呼びます。
メキシコに住む中では、自分たちの伝統的な暮らしと文化を守って暮らしている、数少ない先住民族のひとつです。
ウイチョル族のビーズアート
虹を凝縮したようなカラフルさ
ウイチョル族によるビーズアートは、とにかくカラフルです。
さまざまな色のビーズを使用し、動物や人間、太陽などのモチーフや、幾何学模様を描きます。
色の組み合わせ方も、ただ無鉄砲な色使いではなくどこかセンスを感じる様なもの。人々の目を惹くアートです。
ビーズアートの種類
ウイチョル族のビーズアートには、さまざまな形のものがあります。
しかし、やはりビーズが取れてしまったりするので、置物や装飾品が多く、実用性のあるものは少ないです。
実用的な物としては、ペン立て、写真立て、小物入れなどがあります。
ウイチョル族のビーズへのこだわり
メキシコでビーズを使ったアートが制作される際には、ほとんどの場合、中国産の安いビーズが使われています。
しかし、ウイチョル族のアートには、特別なビーズが使われています。
ウイチョル族の作るビーズアートは、ビーズの大きさや厚み・穴の大きさが全て均一でなければならないので、「より質がいい」とされるチェコ産のビーズが使用されます。
デザインの変化
かつては、ウイチョル族のアートには木の実や動物の骨が材料として使われていたのですが、100年ほど前からチェコ産のビーズが使われるようになり、彼らのアートは一気にカラフルになりました。
数十年前は、控えめにビーズが貼り付けられたもっとシンプルなものだったのですが、
現在は、全体にビーズがびっしりと貼り付けられた派手なものが主流です。
「ペヨーテ」からデザインのインスピレーションを得る
ウイチョル族は、儀式の際に「ペヨーテ」という幻覚作用のあるサボテンを摂取します。
ペヨーテは彼らが「神」として崇める対象でもあり、アートのデザインにもよく出てきます。
ペヨーテは目に強く作用し、すべてのものがより色鮮やかに見えるといいます。さらに、大量摂取によってトリップ状態になると、様々な幻覚を見ます。
ウイチョル族の人々は、ペヨーテを見たときに見た幻覚を自分たちのアートで表現しているのだそうです。
上の作品の、中心の緑色の部分がペヨーテです。
ウイチョル族のビーズアートの産地
エリア:西部
ウイチョル族のビーズアートは、ウイチョル族の住んでいる土地であれば、どこでも見つけることができます。
かつては山にこもっていることが多かったウイチョル族ですが、最近は自分たちのアートを売り安定した収入を得るため、メキシコシティなどの都市に出てくる人も多くなっています。
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