メキシコの仮面はおもしろい!② 仮面は優秀なストーリーテラー!

メキシコの仮面は、その正体や背景を知れば、もっともっと楽しむことができます。

今回は、メキシコで見る最もポピュラーな仮面「外国人の仮面」の背景について紹介したいと思います。

はじめに

メキシコでは、数千年前の大昔から仮面が作られていました。約500年前、スペイン人がやってきたときにはすでに仮面作りの高い技術が確立されていたといいます。

その後、スペインはメキシコを植民地化し、先住民をキリスト教へと改宗させるのですが、その時期に仮面のデザインは一気に変わっていきました…!

メキシコのむかしの仮面

スペイン人がやってくるはるか昔、何千年も前から、メキシコでは仮面が作られています。

実際に遺跡から発掘された仮面も多数あり、どの仮面も、宗教の行事や儀式の踊りなどに使われていました。

今の仮面と同じですね。

スペイン人がやってくる前までに、木彫りの仮面の技術もとても発達していましたが、どんなものだったのかは詳しくわかっていません。

なぜなら、スペイン人が仮面を全て燃やしてしまったからです。

植民地化するとき、スペイン人は「先住民の文化は悪である」として、彼らのもともとの文化をすべて否定しました。

そして、「悪の根源」である先住民の宗教を否定し、礼拝所などの大切な建物を破壊しまくりました。

仮面は、先住民の宗教の行事や儀式の踊りなどに使われていたので、もちろん真っ先に処理されてしまいました。

今では、ものすごく熱心な仮面コレクターでも、スペイン人がやってくる以前の仮面を見つけるのはほぼ不可能です。

燃えない素材のものは、たま~に残ってるんですけどね…

石や骨でできたものは、木彫りよりは残っています。

スペイン人が来る前の仮面は、博物館などに行くと、たまーに見つけることができます。

スペイン人が仮面を燃やしたあと…

スペイン人は、なんのために仮面を燃やしたかというと、自分たちの信じるキリスト教を広めるためです!

仮面を燃やして先住民の文化を否定したら、次はキリスト教を教えなければなりません。

…しかし、うまい方法が考えつきませんでした。

なにしろ、言葉が通じない。

今はメキシコではスペイン語が公用語ですが、スペイン人がやって来る前は、メキシコでは先住民言語(アステカの言葉など)が話されていました。

なので、キリスト教を言葉で説明することが出来なかったのです。

そこで、スペイン人は考えました。

ことばが通じないと、キリスト教を広めるためのバイブルなども説明できません。

バイブルの説明ができないと、キリスト教を信じてもらうこともできません。

 

なんとスペイン人は、先住民の文化を応用して、仮面でキリスト教を伝えることにしました。

こうすれば、ことばが伝わらなくても、演技力によってなんとなくバイブルの内容を伝えることができます。

この作戦は、成功でした。

「もともと仮面は踊りに使われた」といいましたが、その踊りというのも、その地域の歴史を教えるためのストーリー仕立ての劇でした。

なので、スペイン人の仮面バイブル劇は先住民にとってもわかりやすい方法でした。

この方法で布教したことで、先住民にとってもキリスト教を受け入れやすくなったのではないでしょうか。

先住民の文化を一度は否定し、元からあった仮面も燃やしたものの、結局このような形で仮面文化は継続されることになりました。

今度はキリスト教のバイブルの登場人物に置き換わって。

外国人の仮面

そんなわけで、なんとか仮面文化は継続されたのですが、作られる仮面の多くが「バイブルの登場人物」や「キリスト教信者」など、メキシコ人にとっての「外国人」でした。

「外国人」の仮面は、一目見ればわかります。

キリスト教徒は、白い肌(ピンクの肌や、頬が赤いものも。)、青や薄い茶色の目、高い鼻、整えられたヒゲなどの、白人(特にスペイン人風)の特徴とともに描かれます。

この画像の中では、「キリスト教徒」は左上の仮面ですね。

このタイプの仮面で最も多いのが、「キリスト教徒とムーア人の戦い」をテーマにした踊りの仮面です。

「ムーア人」の仮面は、白人のものに似ていますが、少し肌が暗いトーンで作られることが多いです。

キリスト教徒の仮面とよく似ているので、踊りで使う際には、ターバンを身に付けて、ムーア人だということをわかりやすくします。

真っ赤な顔のヨーロッパ人

ヨーロッパ人は、基本的に白かピンクの肌で作られますが、ゲレロ州、プエブラ州、ペラクルス州などでは、真っ赤な顔で作られることもあります。

この色は、「メキシコの強い日差しで日焼けしすぎたヨーロッパ人」を表しているようです。

きっと、当時のヨーロッパ人にとっては、メキシコの紫外線は信じられないほど強かったのでしょうね。

…しかしツノを付けると、これまたメキシコでよく作られている悪魔の仮面そっくりになることを考えると、

もしかしたら、自分たちの文化を破壊していくスペイン人への見方をこっそり表現したのかも…?」なんて思ってしまいます。(笑)

現在の仮面

数百年たったいまでも、キリスト教にまつわる仮面はメキシコ各地で作られています。

植民地化されてしばらくしてからは、他の仮面も積極的に作られるようになりました。今では、数百種類、もしかしたら数千種類もの仮面があります。

キリスト教はまったく関係ない、先住民オリジナルの仮面もたくさんあります。

しかし、やはりキリスト教に関する仮面は、メキシコ全土で見ることのできる最もポピュラーな題材なのです。

とりあえず、メキシコの仮面屋や仮面を扱っているお土産屋にはほぼ100%置いてあるので、メキシコにいったらぜひ、探してみてください!

仮面のデザインの背景を知ると、仮面を見るのも楽しくなります♪

以上、植民地後の仮面についてでした。

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