テナンゴ刺繍の、メキシコらしい不思議な世界観とカラフルな色使い

テナンゴ刺繍とは?

テナンゴ刺繍とは、テナンゴ地方に住むオトミ族による刺繍のことで、「オトミ刺繍」とも呼ばれます。

カラフルな糸で様々な動物や花を表現したオトミ刺繍は、「最もメキシコらしい刺繍」として世界中で有名です。

テナンゴ刺繍の特徴

テナンゴ刺繍は、基本的に白い布にカラフルな糸で様々な動物や花が刺繍されています。

メキシコを代表するフォークアート、メキシコ刺繍のひとつで、とても人気の高いおみやげでもあります。

よく刺繍されるモチーフは、うさぎ、鳥、花など、オトミ族の住む地域で見ることのできる動物や植物です。

刺繍の技術

テナンゴ刺繍の特徴のひとつは、その一風変わった刺繍技術です。

表から見ると、テナンゴ刺繍に使われているのは「サテンステッチ」という、面を埋めるような基本技術なのですが、

裏側を見てみると、ただのサテンステッチではないことがわかります。

【裏側の様子】

なんと、テナンゴ刺繍では、使用する糸量の節約のため、表側にのみ糸が出る特別なサテンステッチで刺繍されます。

この方法により、裏側からも刺繍のデザインがよくわかるようになっています。

テナンゴ刺繍の目利きをしてみよう

大切なポイントが2点あります。

  • 裏側も美しいか
  • 刺繍の目は詰まっているか

テナンゴ刺繍を表から見ると、どれもカラフルで、にぎやかな柄で美しく見えるのですが、「より美しいもの」を見つけたい場合は、裏側を見るのがいいです。

裏側を見れば、刺繍がどれだけ丁寧にされているかが一目でわかります。

絵柄のフチの部分だけに糸が出ている、デザインがよくわかるものこそが、美しいテナンゴ刺繍です。

また、目の詰まり具合を見るのも大切です。

質の低いものは、糸を節約するためにスカスカに刺繍がされていたりします。しっかりぎっしり刺繍されたもの方が、糸が引っかかりにくく長持ちします。

テナンゴ刺繍のサイズ

一般的なテナンゴ刺繍のサイズは、小さなテーブルクロスサイズやクッションカバーのものがほとんどです。

ほかにも、Para La Meza(パララメサ―机に敷く細長いスタイル)、

巨大なベッドカバーサイズの(2x2m-ドスポルドス)などもありますが、大きいものは数が少なくレアものです。

単色の刺繍もありますが、よりメキシコらしい、カラフルなものの方が人気が高く、高価です。

写真一覧

一般的なテナンゴ刺繍

①最もオーソドックスなもの(テーブルクロスサイズ)

よく見かけるものは、このようにうさぎや鳥、花がデザインされた、カラフルなテーブルクロスサイズのものです。

②単色のもの(ベッドカバーサイズ)

単色のものもあります。ベッドカバーサイズのものはあまりみかけませんが、カラフルな物よりもインテリアにも取り入れやすく、欧米の人々に人気です。

珍しいテナンゴ刺繍

③2色のもの(クッションサイズ)

2色のみで刺繍されたもの。基本的に、テナンゴ刺繍はカラフルなものと単色のものがほとんどで、数色のみで刺繍されたものは珍しいです。

クッションサイズ(正方形で中にワタが入る)は、テナンゴ刺繍でよく見かけるスタイルです。

④同系色でまとめたもの(テーブルクロスサイズ)

非常に珍しい、同系色でまとめたものです。様々な種類・トーンの緑の糸が使われています。

この作品は、オトミ族に弟子入りした普通のメキシコ人の作品です。

⑤黒地ベースのもの(テーブルクロスサイズ)

テナンゴ刺繍は基本的に白地です。このように、黒地のものは非常に珍しいです。

下絵が見えにくいので、白地よりも難しいのだそうです。

⑥たくさんの要素を盛り込んだ「作品」(ベッドカバーサイズ)

人間、大ぶりな花、キメラなど様々な要素が盛り込まれた、職人によって特別にデザインされている作品です。

完成まで何か月もかかっています!

このような巨大サイズは、とくに価値が高く、コレクターの間でも人気のアイテムです。
刺繍が生み出す物語。「テナンゴ刺繍」の巨大サイズを集めました!

産地

テナンゴ刺繍は、イダルゴ州山間の小さな村々で生産されています。

しかし、わざわざ村まで行かなくても、今は多くのオトミ族が商品を町に持っていって売っています。

また、大きい街やメキシコシティーに住むオトミ族も多く、ほとんどの場合、彼らは民族衣装を着ていないので普通のメキシコ人と見分けがつきませんが、この刺繍を売っているのはほとんどがオトミ族の人達です。

最近は、オトミ族ではない人も、オトミ族の人から技術を教えてもらって作っている人がいます。

とくに近年、オトミ族自体の人口と、刺繍をする人口が少なくなってきているので、この文化を存続させるために、民族にこだわらず、より多くの「学びたい人」に技術を教える流れになっています。